双生児のゲノム・エピゲノム比較解析に基づく先天異常の環境要因遺伝子に関する研究

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 24792305
• Research Institution: Showa University
• Principal Investigator: 萬屋 礼子 昭和大学, 歯学部, 助教 (30384340)
• Keywords: 双生児 / ゲノム / エピゲノム / 先天異常 / 環境要因

Research Abstract

本研究では、矯正歯科臨床で多くみられる唇顎口蓋裂や第一・第二鰓弓症候群などの先天異常の一卵性双生児（罹患児・非罹患児のペア）例を対象にゲノム・エピゲノムの網羅的な解析を行い、双子間でのCNV発現量 やDNA のメチル化の差異領域を特定し、この影響で発現差異を認める遺伝子、すなわち双子間の障害差異要因の候補遺伝子の同定を行い、先天異常の原因探索を行うことを目的としている。
本年度は、卵性診断を行い一卵性双生児であることを確認した後、電気泳動による方法およびQ-DNA定量による方法により検体の品質評価を行った。その後、全ゲノムSNPジェノタイピング（イルミナ社Human CytoSNP-12v2.1 DNA Analysis Bead Chip kit）を行い、SNPおよびCNVコピー数の異常（欠失、Copy－neutral LOH、増幅）を検出した。
その後、CNV一卵性児間比較を行った結果、個々の一卵性双生児（三生児）口唇口蓋裂罹患児に、非罹患児にない特徴が若干みられた。
ゲノムやエピゲノムの配列やパターンは、受精後や組織分化終了後は変化しないと考えられてきた。しかし近年、コピー数多型（CNV）とよばれるゲノム領域やDNA のメチル化に代表されるエピゲノムが一卵性双生児間で異なることが報告され、本研究の口唇口蓋裂罹患/非罹患双生児（三生児）においても若干の差異がみられ、現在まで未知であった領域の実際が解明される一助となったと考えられる。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成24年度では本研究を施行するにあたり昭和大学ヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査委員会申請および承認を得るために多大な時間を要したため、本研究を開始することが不可能であった。そのため本年度では、平成24年度に計画していた研究内容も含め以下のように行った。
１． 卵性診断
２． 双子間差異を呈するCNV 領域の同定実験
３． 関連遺伝子近傍のCNV の選定：双子間で差異のあったCNV 領域のうち、領域内またはその近傍に関連遺伝子が存在するCNV（その遺伝子の発現に影響を与えうる）を、ゲノムデータベースをもとに選定する．

Strategy for Future Research Activity

平成26年度は
１．双子間のメチル化差異領域の同定、２．関連メチル化差異遺伝子の選定、３．選定された遺伝子の双子間の発現差異の証明、４．双子間の差異症状の要因となった発現差異遺伝子の同定、を行う予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成24年度におて本研究を施行するにあたり、昭和大学ヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査委員会申請および承認を得るために多大な時間を要したため、本研究を開始することが不可能であった。そのため本年度では、平成24年度に計画していた研究内容も含め行い、研究実績欄に記載した通りだが、未施行の研究の一部が次年度に繰り越しとなってしまったため。
双子間のメチル化差異領域の同定、関連メチル化差異遺伝子の選定など、昨年度および本年度分の繰り越しとなった部分を次年度施行すると同時に、次年度計画している、選定された遺伝子の双子間の発現差異の証明および双子間の差異症状の要因となった発現差異遺伝子の同定を行っていく予定である。