2012 Fiscal Year Research-status Report

健全エナメル質フッ素化度測定による新たなカリエスリスク判定基準の開発

Research Project

Project/Area Number	24792312
Research Category	Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
Research Institution	The Nippon Dental University
Principal Investigator	割田幸恵日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (50386257)
Project Period (FY)	2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords	フッ素化アパタイト / カリエスリスク判定 / エナメル質 / 光学的検索
Research Abstract	本研究は、小児歯科臨床で望まれる「最小の介入で最大の効果を上げる過不足ないフッ化物による予防的対応」を行うために、①光学機器と光励起蛍光定量法（QLF）を用いて健全エナメル質の耐酸性（フッ素化アパタイトへの転化度：フッ素化度）を定量し、歯面のフッ素化度の過不足を客観的に評価する新たなカリエスリスク判定法を確立し、②フッ化物応用による口腔内エナメル質の耐酸性獲得の有無を、簡便かつ非侵襲的に測定できる光学機器の開発を目指すことを目標に、フッ素化アパタイト試料を実験的に作成し、光に対する特性を明らかにすることを目的としている。平成24年度においては、「耐酸性エナメル質（フッ素化アパタイト）試料の作製」のためのベース試料として最も理想的な「口腔内環境に曝露されていない」ヒト埋伏智歯の収集にあたったが、計画通りの必要数が集まらなかったため、さらに継続して収集することとした。当初は作製されたフッ素化アパタイト試料を用いて行う予定であった試料表面性状のデータ化の準備のため、これまでの予備研究で脱灰／再石灰化サイクルに供した牛歯エナメル質試料を代用して光学式齲蝕検出装置（DIAGNOdentTM等）による測定および今年度購入したデジタルカメラ付光学的齲蝕診断システム（QLF-D Biluminator）による画像データ診断（画像解析ソフトにて解析しデータを記録）を試みた。牛歯に対するQLF-D Biluminatorを使用した画像記録および解析は、想定していたヒト歯での試料とサイズ等が異なるため再度設定が必要となるが、今後の研究のベースラインとなるフッ素化アパタイト試料作成および解析のために有効であることが確認された。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason １．耐酸性エナメル質（フッ素化アパタイト）試料の作製について研究実施計画では平成24年度中に試料作製マニュアル完成予定であったが、研究に最適なヒト完全埋伏歯が入手困難であったため遅れが生じている。２．デジタルカメラ付光学的齲蝕診断システム（QLF-D Biluminator）の納入について本システムは受注生産型の機器であり、かつ海外からの輸入手続き等を経ていたため、使用開始が予定より大幅に遅れた。以上の理由により、研究実施計画よりもやや遅れていると自己評価している。
Strategy for Future Research Activity	平成24年度においてヒト歯試料の収集が思うように進まなかったことから、現在より多くの歯科医院に対し、本研究の概要ならびに意義について説明し理解してもらい、抜去歯の収集の協力を依頼する。25年度にはヒト抜去乳歯での耐酸性（フッ素化度）の検証も予定していることから、小児ならびにその保護者に対する協力要請の工夫も併せて行っていく。フッ素化アパタイト試料の光学的特性の検索について、昨今、様々な分野でレーザー光等の光学技術を用いた物性解析が行われていることから、歯学以外の研究者・技術者等との交流を図り、本研究に適した技術の利用・導入（委託）も視野に入れている。
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding	デジタルカメラ付光励起蛍光定量装置は海外より輸入したため、外国為替の変動により、結果的に当初の計上額より約30万円安価で購入でき、また試料作製ならびに当該装置納入が遅延したため、試料分析委託料や研究成果発表に関わる費用等について未使用であったことから次年度使用額が生じることになった。本研究推進のために多くの人々の協力を得ることが必要不可欠であり、また研究内容を広く知ってもらうこともあり、次年度では様々な場所でのプレゼンテーションに必要なモバイル型ＰＣ等の購入を計画している。また、光学関連分野の学会・研修会等への参加や、研究成果について同じ分野の研究者たちとの意見交換のために韓国での国際小児歯科学会への出席を予定している。