2016 Fiscal Year Research-status Report
健全エナメル質フッ素化度測定による新たなカリエスリスク判定基準の開発
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24792312
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
割田 幸恵 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (50386257)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フッ素化アパタイト / カリエスリスク判定 / エナメル質 / 光学的検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小児歯科臨床で望まれる「最小の介入で最大の効果を上げる過不足ないフッ化物による予防的対応」を行うために、①光学機器と光励起蛍光定量法(QLF)を用いて健全エナメル質の耐酸性(フッ素化アパタイトへの転化度:フッ素化度)を定量し、歯面のフッ素化度の過不足を客観的に評価する新たなカリエスリスク判定法を確立し、②フッ化物応用による口腔内エナメル質の耐酸性獲得の有無を、簡便かつ非侵襲的に測定できる光学機器の開発を目指すことを目標に、フッ素化アパタイト試料を実験的に作成し、光に対する特性を明らかにすることを目的としている。 平成28年度は申請者の産前産後の休暇および育児休業の取得に伴い、科学研究費補助事業期間の延長を申請し、平成28年12月より研究を中断させていただいた(平成30年1月25日まで)。そのため当該年度の研究活動期間は約8か月間であったが、休暇前の期間も妊娠中の体調変化により思うように時間が取れず、研究発表等に至るような結果を得ることはできなかった。当初の予定では、ヒト乳歯を用いたフッ素化アパタイト試料の作製を目指していたが、ヒト乳歯の収集が困難だったため、研究中断前の時点では人工アパタイトや牛歯を材料とした試料作製への変更を試みているところである。研究再開後には、主に人工アパタイトを中心にした試料作製を継続し、完成した試料の分析については、外部への委託も視野に入れ、育児休業からの復帰直後の研究時間確保の困難さを解消したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
産前産後の休暇および育児休業の取得に伴い、科学研究費補助事業期間の延長を申請し、平成28年12月より研究を中断させていただいた。そのため当該年度の研究活動期間は約8か月間であったが、休暇前の期間においても妊娠中の体調変化により時間の制約が多くなり、当初のエフォートよりも研究に費やす時間がはるかに減ってしまった。 また、試料対象としてヒト乳歯を想定していたが収集がはかどらなかったことから、試料材料を収集量に左右されない牛歯や既製の人工アパタイトへ変更することとし、その試作の途中で研究中断となった。 以上の理由により、研究実施計画よりも遅れていると自己評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
度重なる研究中断に伴い遅れが生じていることから、当初の研究実施計画を変更した。 平成29年度は、①耐酸性エナメル質(フッ素化アパタイト)試料の作製と分析のために、研究再開後には、主に人工アパタイトを中心にした試料作製行い、完成した試料の分析については、外部への委託も視野に入れ、育児休業からの復帰直後の研究時間確保の困難さを解消したいと考えている。また、当該年度における実質的な研究期間は約2か月であるため、次年度での継続が必要となることを想定している。 平成30年度は前年度に引き続き、上記①のために、フッ素化アパタイト試料の完成を目指す。完成後には、試料を「光学的特性の検索」(下記②)参照)に供する前に、表面性状等の確認やEPMA等による分析を実施する。また、②フッ素化アパタイト試料の光学的特性の検索として、完成した試料に光学機器に使用可能な波長域(380~700nm)の様々な波長の光を照射した時の結晶構造の反応(励起した蛍光等)を検索し、最終的にフッ素化アパタイトへの転化度(フッ素化度)の差が検出可能な波長を決定する。決定に際しては、実施時点での最新の齲蝕検知用光学機器を併せて使用し、比較検討を行うことも考えている。 当初より併行して進めてきた「ヒト乳歯における耐酸性(フッ素化度)の検証」については、ヒト乳歯試料の入手が困難なことから、試料収集および供された試料の非侵襲的検索は継続するものの、当該年度においては、研究の中心を前述のようにフッ素化アパタイト試料の作成と分析、およびその光学的特性の検索に絞って実施し、成果を挙げることを優先することとする。これらの成果は、平成30年度内の国内での学会、難しければ次年度中の日本小児歯科学会等での発表を予定している。 研究が速やかに遂行された場合には、臨床応用に向け、口腔内を想定した環境での試料の検索等を追加した基礎研究を継続する。
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Causes of Carryover |
妊娠に伴う生活の変化で研究が思うように進まず、研究発表のための学会参加や論文発表等がかなわなかったこと、参加を予定していた学会・研究会等に参加できなかったこと、産前産後の休暇および育児休業取得のため科学研究費補助事業期間の延長を申請し研究を中断させていただいたことから次年度使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究再開後の研究を遅延なく遂行するために、試料材料の変更や、試料分析等の外部機関委託の積極的な活用を検討しており、それに伴う費用が新たに発生すると見積もっている。 しかしながら、次年度での実質的な研究期間は約2か月であるため、次々年度における研究費の継続使用が必要であり、主となることが予想される。
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