2012 Fiscal Year Research-status Report
咬合の欠如が咀嚼筋、舌筋の生後発達のエピジェネティクスとmiRNAに及ぼす影響
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24792313
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
成山 明具美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90440304)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | miRNA / エピジェネティクス / 咬合の欠如 / 咀嚼筋 / 舌筋 / 生後発達 |
Research Abstract |
microRNA (miRNA) は、20から25塩基の一本鎖RNAで、遺伝子の発現を調節する機能を有する非翻訳機能性RNAの一種で、近年、骨格筋を含む多くの組織や器官の成長・発達に重要な役割を果たしていることが報告されている。骨格筋の成長・発達に関するmiRNAのうち、miRNA-1 (miR-1) とmiRNA-133 (miR-133) は同じ染色体第2、18の非常に近い位置に座位しているが、発達過程の骨格筋の分化や増殖において異なった役割を果たしていることが知られている。 今回、C57B6マウス生後1、2、3、4、8、12週目にそれぞれ6匹ずつを安楽死させ、体重を測定後、咬筋および腓腹筋を摘出し、筋重量を測定した。咬筋および腓腹筋の筋組織からmicroRNAを抽出・精製し、逆転写を行い、cDNAを調製した。得られたcDNAを用いてReal-Time PCRにより、1、2、3、4、8、12週齢におけるmiR-1、miR-133aの発現量を測定し、核小体低分子RNA202 (snoRNA202)の発現量を用いて組織量の補正を行った。 体重、咬筋および腓腹筋の筋重量は、1~12週齢において経時的に増加した。咬筋および腓腹筋のmiR-1の発現量は、1~12週齢の生後発達過程においてどちらも経時的に増加した。特に、咬筋では吸綴から咀嚼へ変化する3週齢前後に大きな変化が認められた。咬筋におけるmiR-133aの発現量は1~12週齢の生後発達過程で顕著な変化はみとめられなかった。一方、腓腹筋におけるmiR-133aの発現量は、1~12週齢で経時的に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画である野生型マウスの咀嚼筋、舌筋の正常な生後発達、および咬合活動が低下しているmi/miマウスの咀嚼筋、舌筋の生後発達におけるmicroRNA (miRNA)発現について比較し、調節機序へのmiRNAの関与を調べる実験については、おおむね順調に進行しているが、咀嚼筋、舌筋の生後発達における調節機序へのエピジェネティクスの関与を調べる実験については、進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、咬合活動が低下しているmi/miマウスの咀嚼筋、舌筋の生後発達におけるmiRNA発現について解析し、咀嚼筋、舌筋が正常に生後発達する野生型マウスと比較し、miRNAによる生後発達の調整機能を明らかにする実験を行う。 咬筋などの咀嚼筋の性質の調節機序へのエピジェネティクスの関与を調べるため、筋標本よりゲノムDNAを調製し、制限酵素処理を行った後、バイサルファイトシークエンス法により、myogenin、骨格筋クレアチンキナーゼ(MCK)など骨格筋の生後発達を調節している遺伝子のプロモーター領域メチル化の程度を決定する。また、ホルムアルデヒド処理後、クロマチン沈降法により、プロモーター領域のヒストンのメチル化、アセチル化の程度を決定する。 さらに、mi/miマウスに装着する義歯を作製し、1~3週間程度装着する。その後、上記の実験と同様にReal-time PCR法によりmiRNAの発現量、in situ hybridization法により筋組織内分布、バイサルファイトシークエンス法によりmyogenin、MCKのプロモーター領域のDNAメチル化、クロマチン沈降法によりヒストンのメチル化、アセチル化の程度を測定し、義歯装着前、装着中、装着後の比較を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、実験動物(マウス)、バイサルファイトシークエンス法関連試薬・器具、クロマチン沈降法関連試薬・器具に使用予定である。
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