2013 Fiscal Year Annual Research Report
局所血流改善薬の歯周組織再生過程に及ぼす影響の解析
Project/Area Number |
24792324
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三木 康史 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10598395)
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Keywords | 歯周組織再生 / ムスカリン受容体 / 塩化カルプロニウム |
Research Abstract |
塩化カルプロニウムは、血管内皮細胞のムスカリン受容体を刺激することで局所の血流を改善することが知られているが、組織再生に重要な新生血管を形成する作用があるか否かを検討するため、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)を用いtube formation(管腔形成)の比較を行った。その結果10μg/ml塩化カルプルニウム刺激群において有意に管腔形成することが明らかとなった。また塩化カルプロニウム刺激により、血管新生において重要であるVEGFの発現を上昇させることが示された。以上の結果より組織再生において重要な血管新生作用が、塩化カルプロニウムに有する可能性が示唆された。次に歯周組織構成細胞である歯根膜細胞にムスカリン受容体が発現しているか否かRT-PCRにて検討をおこなった。その結果マウス歯根膜細胞株 MPDL22においてムスカリン受容体のすべてのサブタイプがmRNAレベルで発現していることが明らかとなった。次に塩化カルプロニウムが歯周組織構成細胞の増殖、分化に及ぼす影響について調べた。MPDL22を塩化カルプロニウム存在、非存在下で培養を行ったが、細胞増殖能に明らかな影響は認められなかった。MPDL22を石灰化誘導培地(β-glycelophosphate, ascorbic acid含有 10%FCS/α-MEM)のみ及び10μg/ml塩化カルプロニウム含有石灰化誘導培地にて培養し細胞分化誘導を行った。その結果、対照群と比較し塩化カルプロニウム刺激群において有意に骨関連遺伝子の発現が上昇し、アルカリフォスファターゼ活性の上昇が認められた。またアリザリン染色にて濃染した。以上の結果より塩化カルプロニウムはin vitroにおいて血管新生作用および歯根膜細胞の硬組織形成細胞への分化を促進する作用があることが明らかとなった。これは歯周組織の治癒過程において、組織の再生を促す可能性があることが示唆された。
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