2012 Fiscal Year Research-status Report
プライマリーシリアの特性を応用した新規歯周組織再生治療の確立
Project/Area Number |
24792340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
衣松 高志 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00433954)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 一次繊毛 / 歯根膜細胞 / Shh |
Research Abstract |
プライマリーシリア(一次繊毛)はほとんどの細胞が有する構造の一つであり、その機能として骨形成における重要な蛋白の一つソニックヘッジホッグのシグナル伝達に関わることが知られている。歯牙と周囲骨を連結する歯根膜は、歯の移動に伴い周囲への骨添加と骨吸収を短期間に生ずる組織であるが、その機能を生かした骨再生治療は未だ発展途上である。歯根膜におけるプライマリーシリアの骨形成に関連する働きを解明し、この構造の持つ骨形成の指向性、骨形成のアクティビティーを生かした新規再生治療の確立を目指している。 平成24年度はマウス歯牙移動、挺出時における骨、靭帯、一次繊毛関連タンパクの局在を検索することを目的として実験を行った。この際、1年目のラット第一大臼歯の矯正力による移動を用いたを試みた。歯牙の矯正力による移動ではその移動にい今回標的とする歯根膜に圧迫側と牽引側が生まれ、圧迫側では歯槽骨の吸収が、牽引側では骨の添加が認められる。今回最終的に採用したモデルでは左右両側の臼歯を正中に向かい牽引することで歯根膜細胞が骨を添加していく過程および吸収していく過程における一次繊毛の動態が観察可能となった。歯根膜細胞を増殖し、2から3継代した細胞集団においてはその5%がStro-1 陽性の細胞、つまり歯根膜における未分化な幹細胞系の細胞であり(Xu et al., 2009)が、これらの細胞が一次繊毛を有しSHHシグナルを受け取ることがわかっていおり、その際、SHSシグナリングの下流であるSmoがプライマリーシリアに局在することが知られているとともにこれらのシグナルが幹細胞の自己増幅に関連すると知られている。本研究のサンプルでは特に牽引側にて一次繊毛における染色が確認され、これは歯根膜中に存在する幹細胞が増殖し骨形成を行う上でIn Vivoにおいても一次繊毛が重要であることを示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
矯正による歯の移動を行うモデル作成において、当初、近心への移動を考えていたが、歯肉の炎症、外傷性咬合の発生等が認められ、歯根膜の動態をシンプルに観察することが困難であった。そのためモデルの変更を試み今回採用した第一大臼歯の正中への牽引に至った。そのプロセスに時間がかかり、その後のRNA抽出に至らず、その結果を得ることができなかった。また、研究施設である東京歯科大学が千葉から東京への移転過程にありRIの使用が禁止されてしまったためIn Situ Hybridization(ISH)をRIを用いて行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に予定されていた動物実験と平成24年度に行う予定のin Vitroの実験を並行して進めていく。モデルは平成23年度に確立したため、今後は各週齢のサンプルを作成し、固定サンプルでの免疫染色、凍結サンプルとレーザーマイクロダイセクションを用いたRNAの定量等を行う。使用する研究施設で行えなかったISHについては担当研究者が以前所属していたChildren's hospital of Philadelphiaとの共同研究として行う。同研究室ではISHをルーティンとして行っているため、必要な結果が得られると考えられる。 なお、研究体制として大学院生が本プロジェクトに参加することが決まっており同大学院生は研究のエフォートが高いことから、より円滑な研究の遂行が可能になると考えられる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度中に使用しなかった研究費に関しては24年度に行うIn Situ Hybridizationのプローブ作成に使用する。In Situ Hybridizationは本来23年度中に行う予定であった実験のため、24年度の研究費とは使用目的が異なる。
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