2012 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造制御によるインプラント周囲炎の感染予防戦略の構築
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24792345
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
田口 洋一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (60434792)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ナノ構造 / インプラント周囲炎 / 硬組織分化誘導 |
Research Abstract |
近年,歯周病患者の欠損補綴においてインプラント治療は必須の選択肢となったが,顎骨内に埋入されたインプラントフィクスチャーが良好に維持するためには,埋入後のOsseointegrationの獲得と長期安定性が重要である。また課題の一つに、治療期間の長期化の最大要因であるOsseointegrationの期間の短縮がある.インプラントフィクスチャーの表面性状が細胞接着・硬組織への分化誘導に影響を与え,期間短縮に関係しているという報告もある。 我々は,骨髄中の間葉系幹細胞の培養系で新規ナノ構造であるTNS構造が無処理の表面と比較して、硬組織分化・誘導に良い影響を及ぼすということを報告した。これは、従来と比べてOsseointegration期間を短縮させる可能性を示唆したものであり,更に評価を行ったところ、純チタン表面に存在する酸化膜が水酸化ナトリウム中のナトリウムイオンと結合し,チタネート構造を形成しているものと考えられ、他の報告にもあるようにチタネート構造が骨分化誘導に関与していることが示唆される。 平成24年度に行う高グルコース培養系における細胞とナノ構造の相関関係のin vitroでの検索では,高グルコースによる培養が負の影響を及ぼすことが実験結果に示されており,更なる検索を行なっている。各種炎症惹起モデルを加えたin vitroでの検索は歯周病原細菌のPorphyromonas gingivalis LPSでの刺激によるインプラント周囲炎in vitroモデルを構築して検索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,研究計画においてはおおむね順調に進んでいるが,高グルコース培養系における検索について詳細な実験結果が多く,過去の糖尿病と歯周病の関連研究との相関性については,まだ詰め切れていない。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り,高グルコース培養系における細胞とナノ構造の相関関係のin vitroでの検索に加え,各種炎症惹起モデルを加えたin vitroでの検索と糖尿病モデルラットの生体内にナノ構造化インプラントを応用することによる組織反応を予定通り行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
炎症惹起因子として,IL-1β, TNF-αなどの歯周病原性の炎症性サイトカインやPorphyromonas gingivalis, Aggregatibacter actinomycetemcomitansなどの歯周病原細菌を濃度を振り分けて行う。また,講座研究室内に糖尿病患者から採取した上記歯周病原細菌の臨床分離株を多数所有しており,標準株での炎症惹起実験での実験を終了後,その結果を対照に比較検討する。 ラット大腿骨に直径1.2mmのナノ構造化チタンインプラント体を埋入する予定であったが,ナノ構造化チタンインプラント体の作製,評価についてすこし困難であるので,現状の計画としては直径5㎜のチタン板の埋入を計画している。埋入後、1、2、4週後屠殺し、固定・包埋後にCryofracture法によりインプラント体を除去する。埋入部位の切片を作製し、チタン金属と骨の界面および周囲新生骨の観察を光学顕微鏡にて行い、オッセオインテグレーションの評価を行う。また、埋入試料周囲組織よりTotal RNAを抽出し、cDNAを作製後、骨組織特異的な遺伝子について発現レベルをリアルタイムPCR解析によって行い、チタン金属周囲再生組織の骨分化の程度を評価する。実験群にはin vitro実験と同様,2型糖尿病モデルラット,対照群にはSprague-Dawley系ラットを使用する。 病理組織学的検索はヘマトキシリン・エオジン染色,PAS染色,トルイジンブルー染色,マッソントリクローム染色,ワンギーソン染色,ならびにTypeI・IIIコラーゲンとマクロファージの免疫染色と酒石酸耐性酸性ホスファターゼ染色を行う。
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