2012 Fiscal Year Research-status Report
IGF-Iを用いた顎口腔領域のスマートエイジングの確立
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24792347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80447169)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | IGF-I / 顎骨 / 咀嚼筋 / 唾液腺 / 加齢 |
Research Abstract |
本研究は、成長促進作用を有するInsulin-like growth factor I(IGF-I)の顎口腔組織の成長・老化に関わる働きを明らかにすることを目的に、顎骨や舌、咀嚼筋、唾液腺の成長・細胞老化におよぼす因子と血中IGF-I量との関係について検討を行う。本年度は、3週間持続的にIGF-Iを投与した成長期ラットに対しマイクロCTを撮影し、形態計測を行った。また、同じく成長期ラットの顎口腔組織についてIGF-I量、IGF-I receptor、IGF結合タンパクのmRNAの発現量を測定した。 本年度の研究成果として、成長期ラットへの全身的なIGF-I持続投与により以下の事が明らかとなった。1、IGF-I投与によって歯槽骨の骨量は有意な増加がみられた。2、歯槽骨濃度の最大値は有意に増加していた。3、上記の変化は、皮質骨および海綿骨の両方にみられた。4、下顎頭、歯槽骨、舌、咬筋、唾液腺におけるIGF関連のmRNA発現量は、部位別にはIGF関連mRNA発現量に特徴がみられたものの、IGF-I投与による変化は明かではなかった。 以上の結果より、成長期ラットにおける血中IGF-I値の増加は、歯槽骨の皮質骨および海綿骨の双方において骨量と骨の硬さを上昇させる可能性があることが示唆された。IGF関連物質のmRNA発現量がIGF-I投与によって変化がみられなかったのは、成長期ラットにおいてIGF-I投与によるネガティブフィードバックが生じにくいことを予測させるものなのか、または成長期ラットにおける元来の血中IGF-I量が大きいためにほとんどIGF-I投与の影響しなかったのかを詳細に検討する必要があると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は複数の週齢のラットを用いる予定としていたが、実験の結果より今年度は成長期ラットにおける各種IGF関連のmRNA計測を限定的に行うこととなった。しかしながら、その代わりとして、来年度以降に予定していたマイクロCTを用いた顎骨のIGF-I投与の影響について検討を行い、詳細なデータを得ることが出来たこと、かつある一定の成果を得ることが出来たことから併せて、概ね計画と同等の進行状況と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
IGF-Iの全身的な持続投与による顎口腔組織におけるIGF関連のmRNA発現量の検討では、あまり予測する結果が得られず、さらに多くの実験を行う必要が生じている。対策として、昨年度に使用予定としていた研究費を今年度に新たに実験器具を購入することに充てる。購入するものは実験の推進に効率化することの出来る器材や試薬とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた分子生物学的検索を中断し、マイクロCTでの骨形態計測に変更したことにより生じたものであり、次年度以降に実施する分子生物学的検索に必要な経費として、平成25年度請求額と合わせて使用するよていである。
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Research Products
(3 results)