2013 Fiscal Year Research-status Report
IGF-Iを用いた顎口腔領域のスマートエイジングの確立
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24792347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80447169)
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Keywords | 顎骨 / IGF-I |
Research Abstract |
成長促進作用を有するInsulin-like growth factor I(IGF-I)は元々生体において様々な働きを有することが知られていた。近年、IGF-Iは骨や筋肉の成長発育に必要不可欠な物質であり、骨芽細胞や軟骨芽細胞、骨細胞の分化増殖を促進することが明らかとなってきた。これまでの我々の研究では、ラットの歯槽骨および下顎頭にも同じく成長促進作用を有することが明らかとなり、骨芽細胞、軟骨芽細胞の分化増殖を促進していることが示唆された。本研究では、顎口腔組織の成長・老化に関わる働きを明らかにすることを目的に、顎骨の成長・細胞老化におよぼす因子とIGF-Iとの関係について検討を行うこととした。本年度は、下顎第一臼歯を抜歯した抜歯モデルラットを作成し実験に用いた。持続的にIGF-Iを投与した実験群と生理食塩水を投与した対照群を比較検討した。評価は、抜歯直後から投与中止後まで、毎週経時的に下顎骨のマイクロCTを撮影し、抜歯窩の新生骨の骨形態計測を行った。評価項目は、3次元的に求めた新生骨の体積、頬側および舌側の歯槽骨の高さとした。 研究成果として、抜歯モデルラットへの全身的なIGF-I持続投与により以下の事が明らかとなった。1、IGF-I投与によって歯槽骨の体積は有意な増加がみられ、投与中止後も引き続いて有意差が認められた。2、IGF-I投与によって頬側および舌側の歯槽骨の高さは有意な増加がみられ、投与中止後も引き続いて有意差が認められた。 以上より、抜歯モデルラットへのIGF-I投与は、歯槽骨抜歯窩の治癒過程において新生骨形成量を増加させることが明らかとなった。歯科臨床においてしばしば問題となる高度な歯槽骨吸収をIGF-Iを用いて防止することが可能となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度から引き続いて行ってきた成長期ラットの歯槽骨および今年度の抜歯後の歯槽骨について、マイクロCTを用いた生きたままのラットの経時的な計測により詳細なデータを評価することができた。さらにそのデータから一定の成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得た実験データについて、同様の実験内容で組織学的に検討する。必要な実験器具や試料は今年度、予算に計上していなかった分を今後に充当することにしている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度および今年度に実験予定であった分子生物学的実験の代わりにマイクロCTを用いた骨形態計測を行っている。マイクロCTは撮影が頻回に及ぶがラットは生きたまま同じラットを経時的に使用できるために実験個体は少なくなった。さらに、個体の数ごとに必要となる投与薬、試薬や実験器具が少なくなり、費用に差額が生じた。 次年度は、昨年までにマイクロCTにて頻回に撮影した週齢ごとに組織学的評価を行う必要が生じた。そのためにあらたな実験器具、装置の購入に充てる。さらにラットおよび試薬がその個体数ごとに費用としてかかる見込みとなる。特に投与薬は高額であり、個体数が必要となる次年度ではその費用に充てることとなる。
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Research Products
(3 results)