2014 Fiscal Year Research-status Report
IGF-Ⅰを用いた顎口腔領域のスマートエイジングの確立
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24792347
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小嶋 郁穂 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80447169)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | IGF-I / 顎骨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、成長促進作用を有するInsulin-like growth factor I(IGF-I)の顎口腔組織の成長・老化に関わる働きを明らかにすることを目的に、顎骨や舌、咀嚼筋、唾液腺の成長・細胞老化と血中IGF-I量との関係について、IGF-Iを投与した実験群および生理食塩水を投与したコントロール群に分けて検討を行う。本年度は、下顎第一大臼歯を抜歯した抜歯モデルラットにおいてマイクロCTを撮影し、抜歯窩新生骨と抜歯窩以外の歯槽骨、皮質骨という部位に分けて変化を検討した。 本年度の結果としてIGF-I投与により、骨濃度および骨濃度最大値は、抜歯窩新生骨において有意差はみられなかったが、抜歯窩以外の歯槽骨と皮質骨では共に有意に増加していた。骨濃度最小値は、いずれの部位にもIGF-I投与による変化はみられなかった。また、その他の検討項目である骨濃度の最大-最小差、濃度分散、皮質/海綿骨比に関してはIGF-I投与による効果や変化はみられなかった。 過去および本年度の結果を解釈すると、下顎頭における変化と本年度までの歯槽骨の変化は同様の変化が生じている可能性が示唆された。すなわち、IGF-I投与によって新生骨には一定の骨量増加(骨形成作用)があるものの、新生された骨自体の濃度や強度には投与の有無で違いがないことが示唆された。一方、成熟した海綿骨や皮質骨に対しては、IGF-I投与によって骨量は元より、骨濃度や強度にも増大効果が生じることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた実験方法では経時的な変化を検証することが困難であり、懸念があった。そこで、マイクロCTを用いた生きたまま経時的に計測を行う実験を追加し、優先的に行った。このため、計画していた他の実験系に遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅延が生じたものの、顎骨に関してはマイクロCTを用いて成長変化およびIGF-I投与の効果を生きたまま経時的に観察可能となった。しかしながら、組織を用いた検討では週齢ごとの資料が必要となる。そこで、実験の進捗状況により、顎骨のみに対象を絞って検討を行うこととする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた実験方法では、経時的な骨形態変化を検証することが困難であり、その点で懸念があった。そこで、同一個体を生きたまま経時的に計測できるマイクロCTを使用した実験を新たに計画し、優先的に行った。この実験に時間を要したため、予定されていた実験に遅延が生じ、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験遅延により、未遂行となっている平成26年に行う予定であった異なるエイジングのラットを用いた実験を行う。新たなラットを用いて、マイクロCT撮影による骨形態計測、その変化の病理組織学的検索を行い比較する。平成26年度の使用購入予定であった投与試薬や実験器材の購入費が必要となりこれに充てる。
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