2013 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモダリティーによる情動生成のメカニズムの解明
Project/Area Number |
24792353
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
品川 英朗 大阪大学, 社会経済研究所, 招聘研究員 (60551067)
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Keywords | 神経科学 / 社会医学 / 医用画像工学 / 脳・神経 / MRI |
Research Abstract |
ストレスから生じる不安・嫌悪・恐怖などの精神的な負の情動生成をどうすれば軽減あるいは抑制することができるのか、そのメカニズムについて、動物実験により、多角的な解明を試みた。具体的には、アスタキサンチンやピクノジェノールなどの抗酸化物質を用いて、ストレス中枢と言われている視床下部室傍核に着目し、その変化について免疫組織学的評価を行った。また末梢のストレスマーカーとして知られているコルチゾールについても測定キットを用いて検証を行った。すなわちストレス耐性の強い脳を作るための抗酸化物質の効果に関する検証を末梢および中枢の両面から行った。さらにストレスのない社会の実現を目指して、経済学で用いられるゲーム理論と神経生理学で用いられる脳機能測定法の一つであるfNIRSを用いて、人での検証も試みた。具体的には、囚人のジレンマ構造とそれに付随させるアプルーバルメカニズムにより、人の意思決定がどのように変化するかについて評価を行った。アプルーバルメカニズムにより、囚人のジレンマ構造で認められた背外側前頭皮質、眼窩前頭皮質、および島などの脳部位での賦活が認められなかったことから、嫌悪や不安などのストレスを感じることなく意思決定がなされた可能性を示唆しており、大変興味深い結果となった。特にストレス社会といわれる現在において、様々な精神疾患を有する患者の増加が懸念されている。このような現状に対して、医学のみならず、神経科学、栄養生理学、経済学などの様々な学問分野の融合により、より良い社会環境の実現が可能になるのではないかと考えている。本研究は個人と社会環境の両面から研究を行う上での実験デザインを提案したと考えている。今後さらに発展させていきたい。
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Research Products
(5 results)