2012 Fiscal Year Research-status Report
胃瘻患者への摂食・嚥下リハビリテーション実施による肺炎予防効果の検討
Project/Area Number |
24792354
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若杉 葉子 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20516281)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 摂食・嚥下障害 / 胃瘻 / リハビリテーション / 肺炎 |
Research Abstract |
胃瘻の弊害には、胃食道逆流や唾液誤嚥による肺炎の発症が挙げられる.胃食道逆流は、食道のクリアランス能と胃排出能の低下により重症化するという報告があり、絶食中の胃瘻患者は嚥下頻度が低下していることが報告されている.嚥下動作は、食道の蠕動運動を促進しクリアランス能を改善させること、消化管を刺激し胃排出能を促進させることも考えられる.そこで今回、 絶食中の胃瘻患者において、嚥下運動を引き起こす直接訓練が嚥下頻度や胃排出能に及ぼす影響を検討した. 対象は、療養型病床入院中で胃瘻造設後絶食中の16名(男性7名,女性9名,81.3±12.9歳).絶食期間は3ヶ月から3年7ヶ月であった.嚥下内視鏡検査を行い、直接訓練可能なA群(8名)と困難なB群(8名)に分類した.A群には歯科医師による口腔ケアとゼリーを用いた直接訓練を、B群には口腔ケアのみを2週間実施した.安静時の嚥下頻度と胃排出能(アセトアミノフェン法)を介入前後で比較した. 嚥下頻度は、A群では介入前(12.3±7.5回/時間)と比較し、介入後(15.4±7.9回/時間)に有意な増加を認めたが、B群では介入前(8.9±5.9回/時間)と介入後(8.7±4.3回/時間)で有意差は認められなかった.胃排出能は、A群では介入前(9.7±8.1μg/ml)、介入後(7.8±6.9μg/ml)、B群では介入前(8.1±4.4μg/ml)、介入後(6.0±3.7μg/ml)であった.A群、B群ともに介入前後で有意差は認められなかったものの、ゼリーの摂取量が多い症例では介入後に改善している傾向があった. 胃瘻患者において、直接訓練を行うことで安静時の嚥下頻度が増加することが明らかとなった.このことから直接訓練が胃瘻患者の食道クリアランス能や胃排出能の改善に有用となる可能性が考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
協力病院の医師が退職したことにより、被験者を増やすことができなかったこと、また研究代表者が異動になったことから進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
異動先にて被験者を増やして、研究を進める予定である。 同時に学会発表を行い、研究方法や結果に対する指摘、助言を頂けるよう努力する。また、論文を書く準備を始める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めて行く上で必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込額と執行額は異なった。また当初予定していた人数で研究を行うことができなかったため、24年度の研究費に未使用額が生じた。しかし、今年度異動先での研究を継続して行うことができるため、前年度の研究費も含め、研究を進めて行く。
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