2013 Fiscal Year Annual Research Report
胃瘻患者への摂食・嚥下リハビリテーション実施による肺炎予防効果の検討
Project/Area Number |
24792354
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
若杉 葉子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教 (20516281)
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Keywords | 摂食嚥下障害 / 胃瘻 / リハビリテーション / 肺炎予防 |
Research Abstract |
長期的な栄養ルートを確保する方法である胃瘻は、本来有用な手段である。しかし、適切な嚥下機能評価を受けずに胃瘻造設・絶食となることがある。それゆえ、経口摂取が可能であるにもかかわらず、不要な絶食が生じている可能性がある。そこで、絶食のまま経過している胃瘻患者の嚥下機能評価を行い、経口摂取の可否を評価した.また、経口摂取可能例に対して直接訓練を実施し、介入による嚥下機能、消化器機能に与える影響を検討した. 対象は脳血管障害または認知症で胃瘻となり、経口摂取禁止のまま経過している寝たきりの療養型病床入院患者16例。リクライニング位にて嚥下内視鏡検査(以下 VE)を行い、ゼリー摂取時の嚥下機能を評価し、誤嚥なくゼリー摂取可能であった経口摂取可能群(以下、可能群)と誤嚥を認めた経口摂取不可能群(以下、不可能群)に分け、年齢と絶食期間を比較した.可能群に対して口腔ケアを行った後ゼリーを用いた直接訓練を3週間実施した.対照として不可能群に対して口腔ケアのみを実施し、両群の介入前後の安静時嚥下頻度と胃排出能を比較した. 結果は、可能群・不可能群ともに8例ずつであった。両群を比較すると、年齢(可能群:80±15歳、不可能群:80±13歳)、絶食期間(可能群:1.5±1.0年、不可能群:1.8±0.7年)に有意差は認めなかった。可能群に対して3週間毎日ゼリーを用いた直接訓練を実施した結果、全例が肺炎を発症することなく経過した。また、可能群の嚥下頻度が介入後有意に増加した。 胃瘻で絶食のまま経過している患者であっても、半数で経口摂取が可能だった。これは不要な絶食を防ぐための造設前の検査の重要性を示唆していると考えられた。また、長期間絶食が続いても嚥下機能の低下・廃用が進むとは限らず、経口摂取可能な症例が存在することが示された。直接訓練の実施後に安静時嚥下頻度が増加したことから、唾液嚥下機能改善による肺炎の予防効果が示唆された。
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