2012 Fiscal Year Research-status Report
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24792363
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
渡邊 賢礼 昭和大学, 歯学部, 助教 (20611180)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 摂食嚥下障害 / 超音波エコー / 舌 / 動態 |
Research Abstract |
平成24年度は4次元超音波エコーを用いた舌描出のためのエコーウインドウの設定を行った。まず2次元的に最も描出可能率の高くなる探触子角度を検討したところ、若年健康成人10名に対し矢状方向傾斜角を20度、前額方向傾斜角を0度に固定した時に最も描出範囲が広く、コンベックス型の探触子で舌全体の描出可能率が高くなった。また、描出時の周波数はこれまでのUSでの舌描出においては3.75~7.0MHzの間のものが採用されているがこの範囲での周波数設定で描出可能率に有意な差は認められなかったため、大塚らの先行研究を基準とし5.0MHzとした。 上記、エコーウインドウの設定2次元的描出が最適と判断されたため、3次元構築した時にも応用できるか再度、検討を行った。矢状方向傾斜角は20度で舌尖~舌根部まで描出可能であるためこの角度で固定し、前額方向傾斜角のみを更に0度(顎下部正中)から5度ずつ傾斜角を変え両側舌側縁までの描出範囲に変化があるか検討を行った。 3次元画像構築時には探触子内部でsweepingが行われ立体構築されるため前額方向傾斜角0度~35度までの間では描出状況に変化はなかったが40度を越えると片側舌側縁から舌中央部付近までの画像描出のみに留まった。 以上より、3次元画像構築時にエコーウインドウは矢状方向傾斜角を20度、前額方向傾斜角を0度~35度の間で規定することが可能となった。また次年度、嚥下時等の舌運動測定を実施するにあたり探触子が顎下部や頸部(特に喉頭挙上)の動作を妨げない様にするため前額方向傾斜角は20度~35度の間で規定されることが予想される。 今年度は安静時における舌の立体構築が可能となったことでこれまでUS上で観察できなかったX,Y,Z断面での観察が可能となり機能時における3断面からの測定が期待される。これは巧緻性の求められる摂食嚥下時の舌運動の新たな評価に有用であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画①「エコーウインドウの設定」では本学現有のUS(GE社製、Voluson E8)上での2Dモードでも矢状方向傾斜角を20度、前額方向傾斜角を0度の時に描出可能率が最も高くなり、周波数も当初の予定通り5.0MHzでの設定で問題がなかったことは評価できる。しかし研究計画②「US上での立体構築画像の描出」で前額方向傾斜角が0度~35度という幅で描出可能であったことを考慮すると、4次元(舌機能時の経時的変化)画像構築時にも更に前額方向傾斜角の再検討の必要性が予想されるため舌運動動態解析以前に改めてエコーウインドウの再設定を行うことが新たな課題の一つである。 次年度の課題である4次元構築した時の静的・動的画像の描出や機能時における舌運動の計測を実施できればさらに飛躍した機能診断を実施できる可能性が示唆された。 これまでの研究成果は、学会発表(第17回・第18回共催 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会学術大会,札幌)で広く周知した。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元・3次元超音波における若年健康成人に対する舌描出のためのエコーウインドウの設定は概ね完了し、次年度は4次元超音波で描出した時のエコーウインドウの設定、舌運動時の計測ポイントの設定を若年健康成人に対して実施する。 舌運動の計測は、被験者に椅子上にフランクフルト平面と床面が平行になるよう垂直座位をとらせ、頭部を固定した姿勢で実施する。更に今年度同様にエコーウインドウの設定時には探触子接触角度を決定するために、本学に現有する可変角度調節可能なスプリング付き探触子固定装置を用いる。試料はこれまでのVF(嚥下造影検査)を用いた先行研究に準じて1,5,10mLの飲料水を用いる予定である。また摂食・嚥下障害者は水分に増粘食品を添加し物性を変化して摂取する機会が多くあるため、増粘食品を用いて粘度を変えた水分摂取についても動作解析を実施していく。更には健康高齢者も対象とし、若年健康成人との比較検討を行う予定である。健康高齢者に対してのデータ採取は都内某老人ホームにて介護予防教室に参加している65歳以上の者に協力を仰ぐ予定である。 前年度の研究成果と合わせ、4次元超音波エコーを用いた時の舌運動解析結果(試料の量や物性・被験者集団の違い)の学会発表・論文投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は2次元~3次元超音波を用いての健康成人における静的な舌描出までを実施した。本学現有の超音波エコーは、研究施設内に設置固定しているため、健康高齢者とは言え、次年度に予定している被験者を研究施設へ搬送することは難しいと考えられる。その際の舌動態解析には今年度と同様の機能(4D画像構築可能)の持ち運び可能な超音波エコーが必要になるため、次年度にはそれらの研究遂行に必要な備品を計上する。またデータ採取上に必ず必要な消耗品である超音波エコー用ジェルパッド、超音波エコー用ジェル、更には容量の大きな画像保存のための画像保存用HDD、動作解析ソフト(HULINKS社製、i-Slution)や研究成果発表のための国内・国外学系への参加経費を引き続き計上した。またボランティアを被験者とするため、交通費を含めた若干の謝金を用意する予定である。
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Research Products
(2 results)