2012 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞をより安全に臨床応用するための感染制御方法の検討
Project/Area Number |
24792371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
岡田 彩子 鶴見大学, 歯学部, 寄附講座助教 (60515584)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周組織再生医療 / 機能水 / 細胞毒性 |
Research Abstract |
口腔領域は、多くの細菌種が存在しているため、常に感染のリスクが懸念される。そのため口腔領域の再生医療成功の鍵は、細菌やバイオフィルムの制御であるとされる。すなわち細菌やバイオフィルムを制御する一方で、軟組織への影響を考慮し、さらに分化を妨げない歯科技術が必要である。バイオフィルム制御に関して、抗菌剤や消毒剤などの化学療法剤が主流であるが、我々はこれまでに機能水のバイオフィルム制御作用の可能性を見出した。機能水は、一般的に分解性が高く、残留性が殆ど無いため安全性が示唆されている。そのため再生医療への応用にも期待でき、本研究課題においてその可能性を検証している。 24年度は、機能水の細胞毒性を検証した。機能水として次亜塩素酸電解水及び対照群として3% 過酸化水素水を準備し、ヒト口腔由来細胞KB細胞に作用させた。尚、次亜塩素酸電解水は市販品を希釈して用いた。作用後は、酵素活性試験及びLIVE/DEAD Viability Kitを用いた蛍光顕微鏡による生死判定試験を行った。酵素活性試験の結果、次亜塩素酸電解水群の吸光度は、対照群と比較して2から3倍程度高かった。また生死判定試験の結果、対照群は、作用直後では50% 以上の死細胞が認められ、3、5及び7日後では、その割合が増加した。一方、次亜塩素酸電解水群の死細胞の割合は、対照群と比較して少なかった。したがって、本実験において、次亜塩素酸電解水は、臨床応用されている3% 過酸化水素水ほどの細胞傷害性を示さなかったが、有効塩素の低濃度化も含め、今後さらなる検証を行う予定である。 またこれらと並行して、iPS細胞に関しては、現在DsRed iPS細胞を作製中である。口腔領域の再生医療に関わる様々な細胞で十分検討した上で、機能水のiPS細胞或いはiPS細胞から骨組織への分化能に及ぼす影響に関して、調べることが次の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、機能水の1種である次亜塩素酸電解水のヒト口腔由来細胞KB細胞に及ぼす影響に関して検証を行った。この研究により、細胞培養系及び機能水の細胞毒性試験系の確立を達成することができた。さらに、本研究で得られた成果は、長野県松本市で行われた第62回口腔衛生学会・総会にて発表するに至った。機能水の歯科応用に期待が寄せられている一方で、他の抗菌剤や消毒剤などの化学療法剤と比較して、科学的検証を行った報告が少ないため、本研究は高い評価を得ることができ、達成度としてはおおむね順調に進展していると思われる。 今後は、有効塩素の低濃度化も含めたさらなる機能水の検証を行い、再生医療に応用するための最適な条件或いは作用方法を模索していきたい。また、iPS細胞に関しては、DsRed iPS細胞の作製を、現在樹立中である。口腔領域の再生医療に関わる様々な細胞で十分に検討した上で、順次実験を開始していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、次亜塩素酸電解水のヒト口腔由来細胞KB細胞に及ぼす影響に関して検証を行った結果、細胞傷害性はあるものの、すでに臨床応用されている3% 過酸化水素水の傷害性と比較した結果、懸念されるほどの傷害性ではない可能性が示唆された。 しかしながら、過酸化水素水或いは次亜塩素酸電解水の殺菌因子でもある酸化ストレスは、未分化細胞の持つ増殖や分化などの活性に影響を及ぼすことにより、その機能を低下させる可能性が考えられる。これに対し、アスコルビン酸などの還元剤の添加により、それらの活性が回復する結果がいくつか報告されており、注目されている。本研究課題に関しても、酸化殺菌性の機能水作用後に、アスコルビン酸などの還元剤を添加することによって、酸化ストレスにより低下すると考えられるiPS細胞の分化能を回復する可能性が期待される。まずは上皮細胞や線維芽細胞など口腔領域の再生医療に関わる様々な細胞に対して十分に検証した上で、最適な条件や作用方法を把握し、iPS細胞或いはiPS細胞から骨組織への分化能に及ぼす影響に関して研究していきたい。 また、機能水の中で還元作用を持つアルカリ電解水に関しては、細胞や遺伝子レベルに至るまで、酸化ストレスから防御する報告がいくつかされており、iPS細胞の分化への影響は僅かであることが予測される。次亜塩素酸電解水と同様に、口腔領域の再生医療に関わる様々な細胞に対して十分に検証した上で、iPS細胞或いはiPS細胞から骨組織への分化能に及ぼす影響に関して研究していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)