2013 Fiscal Year Annual Research Report
口腔内バイオフィルム形成及び歯周病原性発現におけるECFシグマ因子の役割
Project/Area Number |
24792372
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
菊池 有一郎 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (30410418)
|
Keywords | 歯周病原細菌 / Porphyromonas gingivalis / シグマ因子 / ECFシグマ因子 / 転写因子 / 環境ストレス / バイオフィルム / 遺伝子挿入変異株 |
Research Abstract |
ECFシグマ因子PGN_1740のバイオフィルム形成能制御メカニズムの解明 Porphyromonas gingivalis ATCC33277株には6種類(PGN_0274, PGN_0319, PGN_0450, PGN_0970, PGN_1108, PGN_1740)のECFシグマ因子が存在する。前年度の研究結果より、野生株と比較しPGN_0274変異株とPGN_1740変異株にてバイオフィルム形成量が顕著に増加することをを認めた。 本年度は、PGN_1740ECFシグマ因子に注目し、バイオフィルム形成能制御メカニズムの解明を試みた。最初に、PGN_1740変異株の相補株をpT-COWプラスミドベクターを用いることにより作製した。次に、野生株とPGN_1740変異株およびその相補株を用い、リアルタイムPCR法にて、バイオフィルム形成に関係すると予測される遺伝子(fimA, mfa1, fimS,ltp1)について転写量の変化を解析した。その結果、fimA, mfa1, fimSについては顕著な変化は認められなかったが、ltp1については、野生株と比較し顕著に転写量が減少し、相補株にて野生株と同程度にまで回復することが判明した。このことより、ECFシグマ因子PGN_1740は、ltp1の転写を直接もしくは間接的にコントロールしていることが示唆された。また、他の研究グループから、PGN_1740はP. gingivalisの酸化ストレス回避機構にも関与するとの報告がある。よってPGN_1740は、生息する周囲環境の状態に合わせてバイオフィルム形成を調節し、周囲環境ストレス存在下ではその回避をすることに関与し、その結果P. gingivalisが口腔内で共存する他菌種との生存競争に打ち勝つことで慢性感染を持続していると予想される。
|
Research Products
(1 results)