2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞と動物実験を用いた褥瘡発生に至る酸素濃度と時間の解明
Project/Area Number |
24792379
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
三木 将仁 埼玉大学, 研究機構総合技術支援センター, 専門技術員 (90515066)
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Keywords | 褥瘡 / 加圧 / 粘弾性 |
Research Abstract |
寝たきり状態の高齢者や麻痺患者に持続圧が作用すると,高い頻度で褥瘡が発症することが知られている.褥瘡好発部位は骨を取り巻く軟部組織層が比較的薄く,高い圧力の生じる部位である.皮膚組織は,膠原線維を固相,組織内間隙に含まれる毛細血管内を流れる血液を液相とする固・液2相系多孔質粘弾性体である.同粘弾性モデルを用いた動物皮膚のクリープ試験と麻酔下ラット大腿部を加圧し,レーザー血流計を用いて加圧部の血流量変化測定を実施した.皮膚組織の安全性について,これらの結果を用いて検討し,以下の知見を得た. 皮膚組織は膠原線維を固相,血液を液相とする顕著な固液2相系多孔質粘弾性を示すことが確認され,組織の圧密化と血液流動を阻害しない力学環境が皮膚組織の安全性確保に重要である.ウサギ耳介のin vivoクリープ試験によると,経皮的加圧量が25mmHg以下であれば,経皮加圧量は組織血圧と膠原線維の弾性発条力の合力と平衡し,変形は停止する.しかし,加圧量がそれを上回るとクリープ変形は血液が組織から排除されるまで進行し,圧密化は膠原線維の発条力と平衡して停止すると考えられる.また,in vitroクリープ試験により,皮膚組織内の血流コンプライアンス(Cs)は20~30mmHg以上で0.11~0.04 (Pa・s)-1,筋肉組織の血流コンプライアンス(Cm)は15~20mmHgで急激に低下することが明らかになった.また,50mmHg以上でCm,Csはともにゼロになることが推定される.
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