2014 Fiscal Year Annual Research Report
看護師の感情規則の構築要因の明確化と感情労働による精神的負担感への援助方法の検討
Project/Area Number |
24792389
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
北野 華奈恵 福井大学, 医学部, 助教 (60509298)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感情規則 / 感情労働 / 精神的負担感 / 看護師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護師の感情労働の基盤となる看護師が持つ感情規則と精神的負担感との関係性の明確化、加えて感情規則の構築要因を明らかにし、その調査結果をもとに看護師の感情労働からくる精神的負担感の軽減に繋がる援助方法を検討することである。 平成26年度は、研究者が作成した看護師の感情規則の程度を測定する尺度(下位尺度は仕事遂行、感情性、合理性)を用い、精神的負担感(GHQ28)および特性(個人志向性・社会志向性PN尺度)を含めたアンケート調査を実施した。 結果は、アンケート配布数650名のうち、回収数446名(68.6%)、有効回答数419名(64.5%)であった。看護師の平均年齢は37.6±9.6歳、臨床経験年数14.5±9.8年、女性371名、男性46名であった。理想とする看護師の有無により、感情規則の程度に有意差(p<0.05)があった。感情規則の「仕事遂行」とGHQの「社会的活動障害」にはごく弱い負の相関があり、加えて、年齢や臨床経験年数と感情規則の「仕事遂行」の間には正の弱い相関が認められた。このことから年数が多い人ほど仕事を効率良く的確にこなすための感情規則が多くなり、社会的活動に問題を感じていないことが考えられた。また、感情規則の下位尺度と個人的・社会的志向性の肯定的側面の間には強い正の相関、個人的・社会的志向性の否定的側面との間では弱い負の相関が認められ、持っている特性によって感情規則を抱く程度が異なることが示された。 看護師が持つ精神的負担感は様々であり勤務する診療科によっても異なる。本研究により、看護師の感情労働の基盤である感情規則の程度を測定する尺度を開発したことで、今後、個々がどのような感情規則を持ち、何に影響しているかなどの明確化が図れ、感情労働に対する教育や支援に役立てることができる意義のある研究になったと考える。
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