2012 Fiscal Year Research-status Report
看護師の転倒リスク場面における視覚情報の取り込みと臨床判断
Project/Area Number |
24792403
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
寺井 梨恵子 石川県立看護大学, 看護学部, 助手 (90457888)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 転倒 / リスクアセスメント / 視覚情報 / 観察 / 看護師 |
Research Abstract |
平成24年度の調査は以下のとおり実施した。 【目的】転倒場面における看護師の視覚映像の取り込みから、視覚情報をどのようにアセスメントに活用したのかを明らかにすること。 【研究方法】被験者:新人・熟練看護師各15名。調査期間:2012年6月~9月。方法:「端坐位の高齢者が、前傾姿勢で杖に向かって手を伸ばしている場面」の静止画を見てもらい、眼球運動測定装置により注視回数・時間を測定した。本研究では注視を「5deg/sec未満の状態で165ms以上停留している状態」と定義した。測定後、注視や軌跡をモニターに再生しながら観察意図やアセスメントについて面接した。分析方法:提示した転倒リスク場面において、想定されるアセスメント(以下、想定アセスメント)と対応する注視部位エリア(以下、重要部位エリア)を、「A:動きの予測」「B:重心と基底面積」「C:バランス保持に影響する環境」の3つの視点で想定した。各被験者が注視した部位エリアと重要部位エリアの一致の有無で分類し、さらに、各被験者の面接内容から抽出したアセスメント内容と想定アセスメントとの一致の有無で分類した。 【結果・考察】重要部位エリアを3つの視点全て注視していたもので、想定アセスメントと一致したものは、新人看護師2名、熟練看護師4名であった。一方、アセスメントが一致しなかったものは認めなかったため、重要部位エリアを注視することは、転倒リスクアセスメントに必要な3つの視点に基づくアセスメントにつながると考えられる。重要部位エリアを3つの視点全て注視していなかったもので、想定アセスメントと一致したものは新人看護師3名、熟練看護師6名であった。一方、アセスメントが一致しないものは、新人看護師10名、熟練看護師5名であった。重要部位エリアを注視していない場合でも、想定アセスメントと一致したことから、臨床経験や周辺視などの影響が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、新人看護師20名、熟練看護師20名、エキスパートナース1名を調査し、 主に、交付申請書に記載した研究の目的の2つ目(視覚情報の取り込みと臨床判断の一致、不一致)を分析し明らかにした。 しかし、1つ目の目的である各対群の違いについては分析ができていない。 調査は研究予定の大多数を終了しているため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度となるため、分析を引き続き実施する。 当初、平成25年度は看護学生(1年生)を調査予定であったが、本研究の意義は新人看護師教育および継続教育への示唆を得ることであり、初学者の特徴を明らかにすることは本研究の目的・意義と一致しないと判断した。 一方で、平成24年度の調査において、熟練看護師とエキスパートナース(認定看護師など)の間に一定の違いを認めた。しかしエキスパートナースは1名のみの調査であり、比較検討には至っていない。 そのため、平成25年度はエキスパートナースの調査を行なうことを計画する。 また、本研究結果を外部発信するため、パンフレットの作成とともにホームページの開設を行なう。 さらに研究成果を学会発表および論文投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分析に伴う人件費 エキスパートナースの調査に伴う調査費、人件費 外部発信のためのパンフレット作成・印刷費、ホームページ作成・維持費 学会発表のための学会参加費、旅費 論文投稿のための翻訳費 当該領域の見識を深めるための図書費、文献複写費 これらに使用する。
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