2012 Fiscal Year Research-status Report
抗がん剤への職業性曝露予防に関する教育介入プログラムの構築
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24792404
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
早出 春美 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (10513286)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 労働安全衛生 / 職業性曝露 / 抗がん剤 |
Research Abstract |
平成24年度は、抗がん剤への職業性曝露の防護策について、組織的対応の実際と個人が曝露を防止するために必要な知識および実施している予防行動の実際を明らかにすることを目的に全国の病院、老人保健施設および訪問看護ステーションを対象に質問紙調査を実施する予定であったが実施には至らなかった。現在、文献検討と質問紙の内容について検討中である。病院だけでなく老人保健施設や訪問看護ステーションを対象とすることで施設規模、施設種別による違いやその特徴を明らかにできるという点で意義は大きいと考えられるため、全国調査は平成25年度に実施する。 平成25年度は、この全国調査と先行研究の結果を踏まえ、抗がん剤曝露予防に必要な教育介入プログラムを開発する予定である。抗がん剤曝露を予防するためには適切な知識と実践で活用可能な適切な技術の獲得が不可欠である。そのため教育プログラムは知識を提供する講義だけでなく、技術を獲得する技術演習の場を設けることを検討している。これに先立ち平成24年度は、効果的な教育介入方法を検討するために、N県内の看護職者を対象に講義と演習を組み合わせた研修会を実施した。研修会の効果に関する評価は今後行う予定であるが、看護職者のニーズも明らかとなったため、全国的に同じ傾向があるのか全国調査に盛り込む予定である。看護職者のニーズと全国調査の結果を踏まえ、効果的な教育プログラムの内容を検討し、教育プログラムを作成する予定である。また、同時に教育プログラムの具体的な評価方法について検討していく予定である。 平成26年度は当初の予定通り、開発した教育プログラムを用いて複数の病院を対象に教育介入を行い、その効果を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は抗がん剤曝露を予防するための教育プログラムを開発するための、基礎研究として、全国の病院、老人保健施設および訪問看護ステーションで働く看護職者を対象に、抗がん剤曝露に関する組織的対応の実際、曝露予防に必要な知識および実施している予防行動に関する実態を明らかにする目的で質問紙調査を実施予定であったが、実施には至らなかった。平成24年度は本学で開催された学会の運営委員など特別な業務が年度の初めにあったため、質問紙調査の作成準備に取り掛かるのが遅くなったことが予定通りに調査が進行できなかった理由である。現在、文献検討および質問紙の内容を検討している段階であるが、この調査結果は教育プログラムの内容を検討する際の参考資料として活用する予定であるため、平成25年度に実施する。 その一方で、平成24年度はN県内の看護職者を対象に抗がん剤曝露予防の研修会を実施した。この研修会は教育プログラムを検討する際の基礎資料となる。抗がん剤曝露予防に必要な基本知識(講義)と曝露予防に必要な基本技術(演習)を組み合わせている。また、演習では「いつ」「どのような」日常業務で抗がん剤に曝露する危険があるか蛍光塗料を用いた可視化を行っている。参加者の反応やニーズを知る機会となり、効果的な教育方法を検討するうえで意義があると考えている。平成25年度は、全国調査の結果と研修会の評価結果を踏まえて教育プログラムの作成を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に予定していた全国の病院、老人保健施設および訪問看護ステーションで働く看護職者を対象とした質問紙調査を平成25年度に実施する。その調査結果とこれまでの先行研究の結果を踏まえ、抗がん剤曝露を防止するための教育介入プログラムを作成する。教育プログラムの具体的内容および介入時期と回数についても検討する。プレテストが必要な場合は実施し、効果を検証したうえでプログラムを修正する。また、教育プログラムの評価方法(評価時期も含む)についても同時に検討していく予定である。評価方法については、知識、技術、環境など包括的かつ客観性の高い評価方法を検討していく。 平成26年度は、当初の予定通り、開発した教育プログラムを用いて複数の病院を対象に教育介入を行い、その効果を検証する予定である。施設規模およびがん化学療法認定看護師の有無などによる比較検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、教育プログラムを開発するための基礎調査として全国の病院、老人保健施設および訪問看護ステーションを対象に抗がん剤曝露予防に必要な知識と実施している予防行動の現状を明らかにする目的で質問紙調査を実施予定であったが、実施には至らなかった。そのため、平成25年度は質問紙調査を実施する。質問紙の発送、印刷、謝礼に係る費用は前年度からの繰り越し金を使用する予定である。 教育プログラムは抗がん剤への職業性曝露を予防するために必要な知識と技術を獲得することを目的として開発する。より効果的な教育プログラムの内容を検討するため、必要時は看護職者を対象にプレテストを行い、プログラムを評価し、検討を重ねる予定である。プレテストを実施する際に必要な費用としては、資料の作成、技術演習で使用する物品購入費(ガウン、マスク、グローブ、キャップ、ゴーグルなどの個人防護具、模擬抗がん剤、点滴ルート、シリンジ、生理食塩水、閉鎖式混合調剤器具など)が必要となる。また、教育介入の効果を評価する評価指標についても検討する予定であるが、評価指標として検体検査(環境の拭き取り調査、血液、尿検査など)を行う予定であるため、これらに係る費用が必要となる。 平成26年度は、開発した教育プログラムを用いて介入を行う予定である。病院規模や認定看護師の有無により比較検証することを検討している。必要な費用としては、プレテスト同様に教育プログラムで使用する物品費、評価する際の検査費などを予定している。
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