2013 Fiscal Year Research-status Report
「食への援助」に関わる安全確保のための看護師の判断視点と臨床経験年数の関連
Project/Area Number |
24792411
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
田中 瞳 東京医科大学, 医学部, 講師 (20406903)
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Keywords | 食への援助臨床 / 臨床経験年数 / 安全確保 / 判断視点 |
Research Abstract |
看護師は患者の「食べること」に対し安全を前提とし、その上で患者の食べることへの満足を支える援助を「食への援助」と捉えている。食べることは個人的な経験により培われ、食行動の多くに影響する。また、看護師の援助実践も臨床での経験を重ねることで変化する。このことから、看護師の「食への援助」の実践はこれらの経験によって変化することが考えられる。本研究では「食への援助」の実践において、看護師が行っているさまざまな判断を安全確保に焦点化して明らかにすることを目的とした。これを臨床経験年数による比較を行い、臨床経験年数による判断内容や視点の違いを分析する。得られた結果は「食への援助」をより安全に実践していくために、これまでは個人の経験によって培われたであろうものを早期に習得するための看護基礎教育や現任教育の方法を検討するのに有意義である。さらに、ケアの質向上に寄与することが期待される。 平成25年度は新たな協力施設の開拓のため、各病院の看護部に依頼を行った。臨床経験年数20年を有する対象者の確保が他の対象群よりも遅れており、強化が必要である。そのため現在は協力施設の地域や規模など、看護師の年齢構成等を考慮して調整している。 また、これまでのデータを振り返り、インタビューガイドでは実践している安全な「食の援助」をより具体的にできるように修正した。また、これまでの経験と現在の実践の繋がりが明確になるよう質問の順番を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の目的は「食への援助」の実践について安全確保に焦点をあて、それが臨床経験年数によって違いがあるかを明らかにすることである。そのため、対象者を臨床経験年数ごとに確保し、対象ごとの分析結果をもとにした経験年数による特性の抽出と、各群を比較することにより、臨床経験年数による「食への援助」の実践における安全確保への視点や判断基準の差を検討する。 得られたデータを振り返り、平成25年度は質問項目の再考を行った。臨床での経験内容が現在の実践や安全確保への判断視点等に影響しているか、現在の実践にこれまでの経験が基盤となっているかを明らかにするという本研究の目的がより明確になるよう、インタビューガイドを修正し、臨床での経験と現在の実践の繋がりが明確になるよう質問の順番を検討した。 分析の途中であるが、臨床での経験の有無によって援助を実践する際の安全確保に対する心理に違いがあるような印象である。経験年数と関連があるかはまだ明らかでない。経験年数との関連を明らかにするためにも各群の対象数を調整し、分析を深めたい。 平成25年度は新たな研究協力施設を開拓する計画であった。臨床経験年数20年の群が特に少ないため、この点については次年度にも引き続き施設に協力依頼を行う。その際は協力施設の地域や規模など、看護師の年齢構成等を考慮する。 計画に比べ研究のデータの収集に時間がかかっており遅延しているため、早急に対処したい。
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Strategy for Future Research Activity |
協力施設と対象者との日程調整は、①調査協力施設の開拓の強化・対象者を確保しやすい条件への変更と、②インタビュー実施の代行を検討することを引き続き行う。 1施設に依頼する際は、施設の特徴を強く反映しないという条件を維持しつつ、臨床経験年数20年の対象者については前後2年の幅を持たせ、1施設から4名以内に変更する。甲信越エリア、東北エリアに加え、関東の日程調整が比較的しやすいエリアでの協力施設と施設規模の対象を広げて実施する。 分析したデータより、臨床経験年数による安全確保のための判断基準の特徴や違いについて検討を行い、得られた結果について学会発表等を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度までに予定していたインタビューの実施が遅れており、逐語録の作成も滞っている。全データ揃っておらず、分析に対して助言を受けた際の謝金を使用するに至っていない。分析に必要な消耗品等が未購入である。 平成26年度は、インタビューと分析が終了するよう方策をたてており、これに伴い計上していた国内旅費および人件費を使用する計画である。 また、平成25年度中に購入できなかった分析用具・資料保存のための物品等を整備し、研究環境を整える予定である。
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