2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792419
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
佐々木 新介 関西福祉大学, 看護学部, 助手 (30611313)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 看護技術 / 静脈穿刺 / 温罨法 / 超音波 |
Research Abstract |
本研究は,末梢静脈穿刺に効果的で簡便な上肢温罨法の検証である.2年計画で行う本研究の初年度(平成24年度)は,次年度に想定している臨床介入を念頭に臨床でも実施可能な上肢温罨法の検討を行った.加温に伴う安全性は勿論,加温範囲(穿刺部を想定した局所加温と前腕全体の加温)や加温時間の短縮(5分間)等について,実験室内で健常人を対象に検討した.また,血管怒張には駆血条件も影響するため,考慮する必要性がある.そのため,血流測定も可能なdoppler機能を有する超音波診断装置を活用し,静脈怒張に影響を及ぼす駆血時の血流評価を行い,森らの開発した目盛付き駆血帯を活用し駆血条件を統一することにした. その結果,前腕部を5分間加温することで血管断面積の増加や血流増加が示された.考案した温罨法については,臨床看護師からも意見を聴取し,臨床実践でも実施可能であることを確認した.以上より,温罨法の安全性を確認し,駆血方法にも考慮した臨床での介入試験を遂行中であり,看護実践での示唆を得ている段階である.臨床看護師の協力のもと,血液透析患者に対して温罨法の有効性をシングルブラインドのクロスオーバー試験を実施し,温罨法という援助が実際にどの程度静脈穿刺に効果的であるか(穿刺成功率,穿刺時間の短縮,穿刺時痛の軽減等)分析中である.本研究から温罨法を実施する場合,適応を見極めることが重要であるとことが示唆された.つまり,援助者である看護師が根拠を踏まえた専門性の高い看護援助を提供することが重要であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究目的を達成するための研究計画は,予想以上に遂行できている.この理由として,岡山県立大学荻野教授から研究に関する助言等を得るなど密な連携がとれていること.また,これまでの研究成果に対して外部からも一定の評価が得られ始めており,臨床看護師の協力を円滑に得ることができた.そのため,次年度に想定していた臨床介入を当初の予定より早期(初年度内)に円滑に開始でき,温罨法有効性について検証中である.現在は,研究データの分析,新たな研究課題や今後の研究の発展性も見出せつつある.今後は,研究成果を積極的に公表するため英文誌への投稿も検討しており,研究者のみでなく臨床看護師や一般人にも広く研究成果を公表していく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は研究計画に基づき,着実に進行できている.当初の研究計画より進行状況は良好であり,臨床介入研究のデータ分析を行い,平成25年度は研究成果の公表,今後の研究の方向性を示していく予定である.そして,研究成果は研究者のみでなく,広く一般市民にも公開できるように考慮し努めていきたい.さらに,基礎研究や臨床介入を行う中で見えてきた,新たな課題に関しても解決策を検討していきたい(温罨法用具の検討など).よって,今後は必要とされる一連の関連研究や追加試験も検討中であり,研究成果を臨床看護に還元できるよう配慮していきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度の研究経費においては,研究協力者らへの謝礼を想定していたが,研究協力者らの配慮により謝礼は不要とされ,他の必要な経費に配分することが可能であった.そのため,次年度への繰り越しも含め,今後の研究が最大限に推進するよう有効に活用し,研究成果を広く公表するために活用していきたい.よって,今後は多くの研究者と情報交換や情報収集のためにも学会参加を行い,充実した研究成果の公表と平行し,必要な追加実験を実施するなど研究進捗状況に応じた有効な資金活用を想定している.
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Research Products
(4 results)