2012 Fiscal Year Research-status Report
看護基礎教育におけるラテックスアレルギーを回避する予防システムの構築
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24792421
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Seinan Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
梶原 江美 西南女学院大学, 保健福祉学部, 講師 (00389488)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ラテックスアレルギー / 看護基礎教育 / 学生 / 医療従事者 / 看護師 / 予防 / スクリーニング |
Research Abstract |
ラテックスアレルギー(以下、LA)は、天然ゴム製品に含まれるたんぱく質がアレルゲンとなって発症する。ラテックス製の手袋を装着して、何らかのアレルギー症状が出現する医療従事者が10~20%存在するといわれていることから、学生時代にアレルギー症状を経験する学生も一定の割合で存在すると考えて、看護基礎教育でできるLAを回避するスクリーニング方法を検討している。 本年度は、LAに対する認識度の調査として、国内の看護基礎教育で頻用されやすい基礎看護技術6冊と医療安全4冊の教科書上の記載状況の把握、看護師・医師・歯科医師の国家試験過去問題の出題状況の確認を行った。結果、基礎看護技術の教科書では6冊中2冊にLAに関する記載があり、LAの用語を用いて記載されていたのは1冊だけだった。医療安全の教科書では、4冊中1冊だけの記載だったが、LAが学習項目として立てられ、文献を示して解説されていた。看護師(20年間)・医師(10年間)・歯科医師(10年間)の国家試験過去問題では、医師2件、歯科医師1件の出題があるものの、看護師国家試験で出題されたことはなかった。このことから、看護基礎教育の中でのLAに対する認識は低く、LAについて学習する機会が少ないことが推察された。 また、看護基礎課程に在籍する看護学生のLAに関する実態調査として、質問紙調査とパッチテストを実施した。何らかのアレルギー疾患の既往を持つと自己申告した学生は55.7%で、アトピー性皮膚炎を既往にもつと答えた学生は全体の14.8%存在した。また、日常のゴム製品でアレルギー症状が出現した経験を持つ学生は24.8%で、この学生達はラテックスフリー手袋を装着するよう指導を行った。一方で、パッチテストだけでスクリーニングできる学生は少なく、ガイドラインに沿った使用テストの実施を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究テーマは、1)LAの重要度認識の把握、2)教育現場と臨床現場におけるLAの実態の把握、3)LA予防に向けたスクリーニングシステムの3本柱で構成している。 平成24年度は、1)LAの重要度認識の把握の方法として、①基礎看護技術のテキスト分析、②看護師および他医療職者の資格試験問題の分析、③裁判判例の分析を計画していた。①基礎看護技術のテキスト分析については、基礎看護技術だけでなく医療安全に関するテキストにも取り上げられる可能性があるため分析対象に追加して分析を進め、終了している。②看護師および他医療職者の資格試験問題の分析についても医療全体の資格取得に必要とされているかの確認として、看護師・医師・歯科医師の国家試験問題を対象に分析をし、終了している。現在、ラテックス製手袋を使用すると思われるコメディカルとして助産師・薬剤師・臨床検査技師・歯科衛生士の国家試験問題を分析中である。、③裁判判例の分析に関しては、文献データベースを用いて収集を図っている段階である。 2)教育現場と臨床現場におけるLAの実態の把握に関しては、今年度は教育現場の実態把握を予定していた。看護学生に対して質問紙調査とパッチテストを実施し、アレルギーの既往や日常のゴム製品でのアレルギー症状の出現経験、実際でのパッチテストでの出現状況を医師の同席のもとに把握した。データが約350名分収集することができ、次年度もさらに収集を行っていく。ただし、パッチテストは、学生のラテックス曝露を最小限にするために行った結果スクリーニングとしては有効でない可能性があると考え、ガイドラインに沿った使用テストに変更する。 おおむね順調に進展している要因としては、基礎看護学領域の教員3名を研究協力者として定期的にjournal club(学習会)を開催し、計画の進捗状況の確認といった会議を開催していることが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、1)LAの重要度認識の把握として、①過去10年間の国内外のLA予防に関する文献レビューを行い、②海外の基礎看護技術のテキストと看護師資格試験でのLAの記載状況を把握を目指す。現在分析中である、③コメディカルの国家試験過去問題の分析と④裁判凡例の分析も併せて行っていく。 2)教育現場と臨床現場におけるLAの実態の把握としては、①看護学生を対象とした質問紙調査と使用テストを継続し、データの蓄積と分析を進める。また、②臨床看護師のLAの実態調査を実施していく。 平成26年度は、2年間の調査の結果をもとに看護基礎教育で実施可能なLAを回避するための予防策について整理していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査およびデータ分析に必要な物品費を購入していく。また、分析が終了しまとめたものは、学術集会での発表を行っていく。そのための学会参加費および旅費等に使用する。さらに、平成25年度は、海外で使用されるテキストと看護師資格試験の分析を開始するため、図書および文献収集に費用がかかる予定である。学術集会などで情報を集め、テキストの選択に無駄がないようにする。
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