2013 Fiscal Year Research-status Report
新規糖尿病足潰瘍発症リスク評価指標の開発‐非接触型静脈可視化装置を用いた検討‐
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24792431
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
澄川 真珠子 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (20432312)
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Keywords | 糖尿病 / 足潰瘍発症リスク / 非接触型静脈可視化装置 / 皮膚組織灌流圧 |
Research Abstract |
非接触型静脈可視化装置StatVein(SV)を用いて糖尿病患者の足の表在血管状態を把握できるかを検討した。SVは、赤外線と可視光によって非接触的に皮下10mmまでの表在血管を数秒間で描出する装置である。描出血管をデジカメで撮影し、光照射エリアに占める描出血管の面積が占める割合を算出して定量化した。定量化した値については、神経障害の有無、足関節上腕血圧比(ABI)、皮膚組織灌流圧(SPP)との相関を解析した。対象数は37名、年齢は66.2歳、糖尿病歴13.5年、HbA1c8.0%であった。腎症4期以降、ABI低値、SPP低値の患者の足背血管では、拡張、狭窄、網目状の画像を認め、健常者とは血管の走行パターンが異なっていることが確認された。足底の血管の走行についてのパターンは不明であった。また、光照射部位に占める描出血管面積は、右足背32.3±2.0%、右足底33.4±1.8%、左足背31.7±2.1%、左足底32.8±2.2%であり、これらの値と腎症の病期、神経障害の有無、SPP値、ABIの値の異常の有無については有意差は認められなかった。その理由として、代償性に側副血行路が新生されていた可能性があげられる。また、足底の血管の走行パターンが不明であったのは、足背の血管とは異なり、血管が深部に存在するため、十分な観察が行えなかったと思われる。腎症4期以降、ABI低値、SPP低値といった糖尿病の合併症進行患者の足背の血管では、拡張、狭窄、網目状の画像を認め、健常者とは血管の走行パターンが異なっていることが確認されたことから、糖尿病患者の静脈の走行パターンを把握することによって、足潰瘍発症リスクが高い患者がスクリーニングできる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病患者に対して、非接触型静脈可視化装置を用いることで、侵襲がなく数秒間で表在性の血管を把握することができた。今後は症例数を増やすとともに、血管画像を数量化する方法についてのさらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病合併症が進行している患者や、非糖尿病患者の表在性血管状態を把握することにより、糖尿病患者と比較検討する必要がある。また、解析ソフトの感度を上げるための検討が必要である。得られた結果については、日本糖尿病学会や日本フットケア学会の学術誌に掲載するため、論文執筆を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ収集を追加したうえで画像解析ソフトの更新費用が必要なため 画像解析ソフトの更新費用に8万円程度使用予定である。
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