2012 Fiscal Year Research-status Report
治療を経験した乳がん患者のレジリエンスを支える看護モデルの構築
Project/Area Number |
24792432
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高取 朋美 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (90553983)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 乳がん / resilience |
Research Abstract |
本研究は近年増加傾向にあり社会的に注目されている乳がん患者のresilience(以下、レジリエンスとする)の構造を明らかにし、乳がん患者に必要な看護を検討することを目的としている。 レジリエンスは、人が逆境にもかかわらず精神的健康や社会的適応行動を維持、回復することを説明する概念である。しかし、レジリエンスの定義や類似概念との識別は曖昧であるため、定義や類似概念との識別を明確にするため、概念分析を行っている。概念分析の手法を学び、分析に用いる資料を収集し、現在は分析を行っている段階である。 また、乳がん患者のレジリエンスはいまだ明らかにされていないが、これを明らかにすることで、乳がん患者が治療を経験する中で直面する困難および生活への影響に自ら対処する力を支える援助につながると考える。乳がん患者が心理社会的適応を果たしている過程を明らかにするためには、乳がん患者から直接インタビューを行い、質的帰納的に分析していくことが必要である。 平成24年度は研究協力施設にて研究の同意を得られた乳がん患者を研究参加者として、インタビューを行った。データ収集は、研究参加者15人に対して1人につき4回のインタビューを予定している。平成24年3月までに7人の研究協力が得られ、それぞれ1~2回のインタビューを行った。分析は修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いるため、許可を得て録音したインタビュー内容を文字に起こし、概念の生成を行っている。分析の信用性を確保するため、自身で分析手法を学習するとともに、質的研究の専門家のスパーバイズを受けながら実施している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では概念分析は平成24年度で完了している予定であったため計画よりも進捗は遅れているといえる。しかし、平成25年より開始予定であったデータ収集をすでに開始することができており、研究参加者の協力も順調に得られている。 以上の理由より、研究全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
resilienceの概念分析を速やかに行う。 データ収集を継続すると同時にデータ分析を行っていく。データ収集は現在の研究協力施設で順調に行うことができているため、施設との関係を良好に保ちながら実施していく。同一の研究参加者から1年間継続して4回のインタビューを実施する予定であるため、研究参加者と必要に応じて連絡を取りつつ、身体的・心理的・社会的状況に十分配慮して行うよう努める。インタビューの時期を治療後1か月以内、3か月後、6か月後、1年後としているが、研究参加者の受診の日程やその他の都合を優先し、柔軟に対応していくこととする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
学会参加やセミナーなどで本研究に関連した情報を収集し、知見を深めるための使用を計画している。日本がん看護学会学術集会や日本乳癌学会学術総会への参加を予定している。 収集したデータを保管するための設備購入、電子データを保存・バックアップするためのメディア等を含む消耗品の購入を計画している。また、研究参加者にインタビューを行った音声データを文字へ書き起こす作業は業者に 依頼する予定であるため、その報酬として使用する。 24年度予算で計上していた物品が予定より安価に購入できたことと、未購入物品があることで残額が生じた。25年度は未購入物品を早急に購入し、より計画的に研究の遂行に努める。
|