2012 Fiscal Year Research-status Report
がん看護におけるケア方略としてのタッチの評価ツールの開発
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24792439
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
村上 美華 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (90321950)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | がん看護 / タッチ |
Research Abstract |
本研究の最終的な目標は、タッチをがん看護における方略的なケア技術として確立することであり、「①実践したタッチのプロセスと質を評価できるクリティークツールの作成」、および「②看護師自身によるツールを使用したタッチのプロセスクリティークを通した妥当性の検証」を目的としている。平成24年度は①について、臨床判断のプロセスに沿ったクリティーク項目を抽出するために、看護師の語りから抽出されたがん患者への3つのケア場面について、タッチのプロセスでみられた臨床判断の特徴を比較検討した。 ‘症状の緩和を目的とした’場面では、(患者の訴えなどの情報を手掛かりに他の情報と関連付けたり、裏付けとなるデータを得ながら患者の状態をアセスメントする)、(ふれた手を通して患者の心身の状況を感じ取るよう手の感覚に意識を集中する)特徴がみられた。‘心理的支援を目的とした’場面では、(患者が辿ってきた過程に沿いながら直面している状況を把握する)、(状況の厳しさなどから関わる時間の見込みを考え、スタッフと連携する・抱えている業務を調整するなど患者に専心する時間を作る)特徴があった。‘関係性の構築を目的とした’場面では、(場の空気を読みとったり、患者の言動や表情から今がタッチのタイミングと掴む)特徴がみられ、心理的支援場面にもその傾向がみられた。また、(患者の特性や患者との関係性からタッチの適否を慎重に見定める)、(ケアの目的に合わせてタッチする部位やタッチに方法を選択する)、(患者の変化や患者との関係性の変化からタッチの効果を評価する)、(実践したタッチの意味を振り返る)ことが3つの場面に共通しており、クリティークのコア項目になると考えられた。 この結果より、コア項目、場面に応じたサブ項目からクリティークツールを構成する必要性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に沿って一部計画の修正や実施順序など変更を行ったが、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果を踏まえ、クリティークツールを構成するコア項目、サブ項目をさらに精選していく。その方略として患者への面接調査を行い、タッチの適否やタッチの部位・方法、タッチの効果について患者の体験を言語化し、項目選出に反映する。その後、がん看護分野の認定看護師(緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、乳がん看護、がん放射線療法看護)、がん看護専門看護師とグループ協議を行い、評価の視点および基準について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部計画を修正したことにより、旅費について7万円程度残余が生じたため、25年度以降の物品費および旅費の一部に充当する。
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