2012 Fiscal Year Research-status Report
人工股関節全置換術を受けた患者の自己管理支援システムの検討
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24792444
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
岩岡 美樹 宮城大学, 看護学部, 助教 (40464507)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人工股関節全置換術 / QOL / 自己管理 |
Research Abstract |
今年度は、2011年度に行った人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:以下THA)を受けた患者の周手術期から継続した患者の自己管理能力を高めるための看護の介入方法を検討し、患者のQOL向上に向けた継続的な看護支援の示唆を得ることを目的とした研究の継続調査を行った。対象は、県内の施設でTHAを受けた患者で、平成23年度に実施した退院時(術後1カ月)、術後3カ月のアンケート調査に協力の得られた患者のうち、今回の術後1年目の調査に協力の得られた患者とし、郵送法にてアンケート調査を実施した。 有効回答は32名(有効回答率100%)であった。平均年齢は63.5±12.8歳、自己管理行動は術後1年では、脱臼予防、生活の工夫、リハビリの継続の3項目が約8割、感染予防が約6割の対象者が継続できていた。術後1カ月では、78.1%が日常生活を続ける上での心配や困り事を抱えていたが、術後1年においては、43.8%であった。 WOMACによる術後1カ月と術後1年の比較では、疼痛(p<0.05)、こわばり(p<0.05)、日常生活困難度(p<0.00)において有意な改善が認められた。QOLサマリースコアによる比較では、身体的側面、役割/社会的側面(p<0.00)においては、有意な改善を認めた一方で、精神的側面の点数のみ低下していた(p<0.05)。術後1年におけるQOLサマリースコアに対する関連要因の検討では、日常生活困難度(β=-.597)、日常の困り事(β=-.369)、職業の有無(β=.290)が身体的側面に、日常生活困難度(β=-‐.408)、手術2回目以上(β=-.552)、移動の手段(β=.312)が、精神的側面に、こわばり(β=-.420)、移動の手段(β=.404)が役割/社会的側面に関連していた。 今後さらに研究の対象を広げて分析を深め看護支援を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
退院時、術後3カ月までは、日常生活の困り事がQOLに有意に関連しており、人工関節にした事による手術後の不安は、特に精神面のQOLに影響を与えていた。さらに、術後1年には日常生活困難度も身体的側面、精神的側面のQOLに大きく影響しており、患者が退院時に感じていた動きにくさは、ADL拡大に伴い、様々な日常生活の支障や困り事へ変化していったと考えられ、退院後の生活面での看護支援のニーズが示唆された。THAを受けた患者は、脱臼など不安や日常生活困難感を経験し、それらがQOLの阻害要因になっていると考えられるが、今後さらに、術後年数別、または地域別など研究の対象を広げて分析を深め看護支援を検討していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
股関節疾患患者会の2支部より協力の同意が得られ、6月にA支部、7月にB支部でアンケート調査を実施する予定である。その後、統計処理、文献等を行いながら、分析し内容を深めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、アンケート内容に含まれている尺度(SF-36、WOMAC)のライセンス料金、研究謝礼、消耗品(コピー用紙、封筒)、郵送費、旅費、SPSS購入等に研究費を使用予定である。
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