2014 Fiscal Year Research-status Report
「リウマチとともに人生を切り拓く」リウマチ患者と配偶者への支援方法に関する研究
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24792445
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
山田 香 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 助教 (90582958)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 生活史 / 病いの経験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、関節リウマチ(以下RA)患者とその配偶者にインタビューを行い、RA患者としての生活の歴史を当事者の視点で捉え、身体的・心理的・社会的な文脈を含めた生活史とそこでのRA患者とその配偶者との相互作用を明らかにしようとするものである。その結果から、RA患者および家族のQOL向上のための援助方針を導くことを期待するものである。 今年度は、計画していた40代・60・70代の患者とその配偶者へのインタビュー調査を終了した。その分析結果から、それぞれの年代のRA患者の生活史と配偶者との相互作用の特徴を明らかにすることができた。具体的には、母・妻・会社員などの社会的な役割遂行と疾患のコントロールのバランスをいかにして調整しているか、またその際、配偶者をはじめとする身近な他者からどのようにして支援を仰ぐか等のRA患者としての生活技法と、それらの生活技法の獲得とともに疾患を抱える身体と社会的アイデンティティの管理方法をRA患者が獲得していく過程、いわばRA患者としての成長プロセスとを明らかにすることができた。これらの研究成果は複数の学会において発表した。 さらに、2つの年代の研究参加者から得られた結果を比較検討し、医療状況の変化(抗リウマチ薬の進歩、生物学的製剤の開発、外科的手術の進歩など)を含む社会構造の変化(就労形態の多様化、家族の在り方の変化、家庭内役割の変化等)がRA患者のライフコースおよび配偶者との相互作用に及ぼす影響を整理した。これらの研究成果については次年度、学会発表・論文投稿の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
60-70代の研究参加者へのインタビュー調査の分析結果より、配偶者の社会的背景(特に就労に関すること)が患者の療養生活や家庭内役割にかなり複雑に関与していたことが明らかになった。しかし、先に実施していた40代研究参加者へのインタビュー調査においてこの点の聞き取りが十分でなかったことから分析に影響が出ている。 そのため、40代のRA患者の配偶者への追加インタビュー調査が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
40代の配偶者への配偶者の社会的背景(特に就労に関すること)の聞き取りが十分でなかったことから、この点について追加調査を行う予定である。 今後は、追加調査の結果を合わせて、40代と60-70代の研究参加者の調査結果を比較検討し、医療状況の変化(抗リウマチ薬の進歩、生物学的製剤の開発、外科的手術の進歩など)を含む社会構造の変化(就労形態の多様化、家族の在り方の変化、家庭内役割の変化等)がRA患者のライフコースおよび配偶者との相互作用に及ぼす影響の分析をより深めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、25年度に関西地方でのインタビュー調査を行い、山形県内の調査結果とあわせ、「地域特性が関節リウマチ患者のライフコースおよび配偶者との相互作用に及ぼす影響の明確化」を予定していた。しかし、地域研究および相互行為論の専門家より比較の意義と実現性について指摘があり、山形県内の60-70代の研究参加者の比較対象として山形県内の40代の研究参加者を設定することとした。 そのため、関西地方へのインタビュー調査が不要となり、旅費分等の未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
60-70代の研究参加者へのインタビュー調査の分析結果より、配偶者の社会的背景(特に就労に関すること)が患者の療養生活や家庭内役割にかなり複雑に関与していたことが明らかになった。しかし、先に実施していた40代研究参加者へのインタビュー調査においてこの点の聞き取りが十分でなかったことから分析に影響が出ている。 したがって、未使用額は、40代の配偶者への追加調査および成果発表に充てることとしたい。
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Research Products
(3 results)