2012 Fiscal Year Research-status Report
安定期慢性閉塞性肺疾患患者における栄養教育プログラムの開発
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24792456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
毛利 貴子 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (90438218)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 慢性閉塞性肺疾患 / 栄養障害 / セルフケア / 患者教育 |
Research Abstract |
協力の得られた8名のうち、COPD診断基準に合致した5名について分析した。 男性4名女性1名、平均年齢は67.4(±5.4)歳、在宅酸素療法利用者は0であった。COPD病期分類ではI期(軽度)3名、III期(高度)2名、対標準1秒量(%FEV1)の平均は72.74(±25.67)であった。呼吸困難の程度を示すH-J分類ではII(坂、階段の昇降は健常者並みにできない)4名、IV(休みながらでなければ50m以上歩けない)1名であった。BMIの平均は21.88(±5.98)と標準ではあるが、各データをみると18.5以下のやせが2名、25.0以上の肥満が2名であった。%IBW(%標準体重)は中等度低下が2名、軽度低下が1名であった。 食事に伴う症状についてはほとんど全員が「症状なし」であったが、%FEV1が42.2と最も低値であった対象のみ、食欲不振、満腹感、息切れ、腹満感が「時々ある」と回答した。COPDの療養指導および栄養指導を受けた経験のある者はいなかった。 3日間の食事調査の結果、エネルギー摂取平均値は1553kcal、炭水化物摂取平均186.3g、タンパク質摂取平均69.3g、脂質摂取平均57.9gであり、日本人の食事摂取基準(2010)と比較すると推定エネルギー必要量において男性は下回り女性は同程度であった。先行研究(沓澤,2005)との比較では、本調査対象者はエネルギー、炭水化物、タンパク質摂取量において低かったが、ビタミンB1、B2、Cと脂質の摂取は多かった。 5名と少数のデータからではあるが、安定期の患者はBMIからやせと肥満に二分化される可能性があること、食事における摂取エネルギーは同年代と比較し少ないこと、COPDに関する療養・栄養指導を受けた経験がないことが明らかになった。今後、さらにデータ収集を続け、栄養教育プログラム構築の基礎的資料とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の研究目的は、「安定期COPD患者の栄養状態とその関連要因を明らかにする」ことであった。計画が遅れている理由は主に2点である。 1つは、外来通院中のCOPD患者を対象に食事・栄養の実態調査を開始にあたり、調査対象者の除外基準「運動障害をきたす疾患に罹患している者」「認知機能障害がある者」「抗精神病薬を内服している者」に「悪性腫瘍に罹患していない者」を加えたため、対象数が減少したことである。悪性腫瘍は栄養状態に大きな影響を及ぼすことから対象から除外した。しかしCOPD患者は高齢男性が多く、肺がんをはじめ食道がんや前立腺がんなど様々な悪性腫瘍に罹患している者が含まれており、調査対象が減少したことが遅れの理由である。 あと1つは、食事分析を依頼した企業の都合により契約が遅れ、12月に契約の運びとなった。食事分析システムの運用は25年2月以降となり、それも調査開始の遅れの理由となった。
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Strategy for Future Research Activity |
25年8月まで引き続き食事・栄養実態調査を行う。その結果を元に10月、11月、12月と外来において小集団教育「呼吸と栄養教室」を実施し、前後で教育効果を評価する。 評価指標は、BMIや上腕周囲径などの身体状況、自己管理のための情報ニーズ質問紙、健康関連QOL、食事時の呼吸困難への対処に関する自作の質問紙等を用いる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
食事・栄養実態調査において、調査に用いる用紙や封筒、クリアファイル等の文房具、対象者への謝礼、データ分析費、文献購入、学会参加費等に用いる。 介入となる「呼吸と栄養教室」開催においては、教育資料や介入前後の評価に係る費用、研究協力者への謝礼、データ報告のための翻訳費、学会参加費等として用いる予定である。
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