2012 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞患者のうつ併発を判断するアセスメントツールの開発
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24792461
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
平良 由香利 獨協医科大学, 看護学部, 助教 (50525186)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 臨床看護学 |
Research Abstract |
心筋梗塞患者および心筋梗塞患者に関わる看護師を対象として、心筋梗塞発症後の患者が併発したうつの状態を看護師が判断するのを可能とするアセスメントツールの開発を目的に取り組んでいる。心筋梗塞発症後のうつ併発は、患者の生存率やQOLに影響する要因であり、入院期間中にうつ状態を評価できるアセスメントツールは早期の介入を可能とさせる。また、既存のうつ尺度は患者自身が評価しなければならないが、本研究の結果により明らかとなるアセスメントツールは、看護師による日々のアセスメントを活用することができ、患者に負担がない。 研究計画について医学・看護学の専門家にスーパーバイズを受けた。アセスメントツールの項目の抽出を1年目、妥当性の調査については2年目と考えていたが、アセスメントツールの項目は先行研究から抽出し、妥当性を調査することとなった。また、医学的知見から専門医によるうつ状態の判定を取り入れることにした。 アセスメントツールの項目を抽出し、精神神経科の専門医に漏れがないか等のアドバイスを受けた。さらに、研究協力を得る病院における倫理審査において承認を得た。その後、研究実施施設以外で心筋梗塞患者の看護を実践している看護師を対象にプレテストを実施した。 その後、研究協力施設における承諾を得たのち、対象となる2病棟において看護師を対象に研究依頼を行い、承諾を得た。対象となる2病棟に入院した患者で、選定条件に合う患者に対して発症から7日目と14日目に調査を実施している。内容は、対象看護師によるアセスメントツールの実施と対象患者に対するうつ評価面接と採血による炎症マーカーや酸化ストレスマーカーのデータ取集、対象患者自身による既存のうつ尺度への解答の実施である。また、患者のデモグラフィックデータ収集を行っている。現在、約15例の調査が終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究実施までに、研究計画の立て直しやスーパーバイズ・研究協力者の確保および調整に時間を要した。その理由として、複数領域に渡るスーパーバイスを求めたこと、協力病棟の看護師全員に対して理解を得る必要があったことが挙げられる。そのため、調査開始が遅くなった。しかし、2年に分けて実施する予定であった内容を現在、同時に進行していること、研究協力施設および研究協力者の協力により対象者を増やしつつあることから、最終目的に対する進行状況は順調だと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力施設の心筋梗塞患者の受け入れ状況や患者の病状により、予定している対象者数を確保できない可能性が高いと考える。心筋梗塞の症例を確保するため、研究協力施設を増やすことを検討したが、うつの判断に精神神経科の専門医による面接を受けられる環境を調整することは困難であると考える。そのため、今後はさらに研究協力施設および研究協力者との連携を密にし、対象者の確保に努めていく。また、対象年齢を80歳までとし幅広い年齢を対象とし、対象者数の確保をしていきたいと考える。 対象者数を増やすとともに、データ収集および整理を行い、データ分析を実施していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ収集に伴う検査用紙の購入および印刷費用、血液検体を扱うためのスピッツやラベル、検査費用が主にかかる。現在、血液検査の項目(高感度CRP、可溶性ICAM-1、IL-6)を外注検査で測定しており、1名の測定で17,820円かかる。 また、昨今のパソコンを取り巻く環境に注意し、ウイルス対策をしたうえでデータ分析ができるようソフトの購入を予定している。さらに、循環器疾患とうつについての知見を深めることができるよう学会への参加や研修に参加していく。
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