2015 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症病者に特有の疲労に対する症度別、および複合的アプローチの試み
Project/Area Number |
24792474
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
森谷 利香 摂南大学, 看護学部, 准教授 (20549381)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / 疲労 / 漸進的筋弛緩法 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多発性硬化症(Multiple Sclerosis; MS)患者に特有の疲労に対して、新たな漸進的筋弛緩法(Progressive Muscle relaxation; PMR)を開発し、介入・評価することにある。これまでの取り組みにおける課題を元に、平成27年度までに運動療法士等との検討に基づき作成したプログラムをCD化し、患者4人に対する3か月のパイロットスタディにおいて安全性を確認した。平成27年7月より、多発性硬化症患者に対して新たなPMRによる介入を開始している。研究デザインは準実験的デザインであり、介入群、対照群を便宜的に振り分け、6か月間の介入を行っている。評価は、主観的疲労感、QOL(SF-8)、気分・情緒スコア(POMS)、身体感覚尺度の他、日誌に自由に記述を求めている。現在、介入群16名中5名が介入期間を終えている。結果、患者Aは、期間を通じて主観的疲労度が10段階中4から2へと変化し、身体的QOLが約10%増加した。また、POMSにおいては抑うつや疲労、怒りを示す下位尺度が低下していた。患者Bも同様に主観的疲労感が7から3に変化し、精神的QOLが40%増加した。日誌では、対象者に末梢に温感があったことや眠気などのリラクゼーション反応が見られていた。加えて、疲労が軽減したこと、皮下注射のストレスを緩和できたことや痛みが和らいだなどの記述が見られた。一方で、体調が悪いときには負担になることや、難しい動作があったなどの意見もあった。さらに精神的QOLが上昇しない患者や主観的疲労感が上昇した患者もいた。 今後、すべての対象者の介入・評価が終了次第、両群の各評価項目における平均値の比較、および日誌の内容の際について検討し、MS患者に特有の疲労に対する新たなPMRの影響を考察し、課題から今後のプログラムについて検討する予定である。
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