2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24792477
|
Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
森沢 知之 兵庫医療大学, 医療福祉学部, 講師 (80552512)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 腸管運動 |
Research Abstract |
本研究は二段階の研究により構成されており、本年度は基礎研究として健常成人を対象とし、以下の研究を行った。 【研究目的】腸管運動を促通する手法として、これまで温熱療法が臨床現場では主に使用されているが、今回我々が開発した他動的下肢体幹運動と従来からの温熱療法を比較し、どちらの手法が腸管運動をより促通するか、の検討を行う。さらに温熱療法と他動的下肢体幹運動を同時に行うことで、さらなる効果が得られるか、検証する。 【対象及び方法】健常成人男性16名(平均年齢21.1歳)を対象とした。昼食摂取(同じ食事、水分を摂取)後1時間後に実験室に集合してもらった。①温熱療法(腹部にホットパックをあてる)、②他動的下肢体幹運動(他動的に被験者の下肢と体幹を動かす)、③combination(温熱療法+他動的下肢体幹運動)をランダムに選択し、各手法を10分間実施した。各手法間の測定は少なくても24時間以上空けた。腸音の測定は電子聴診器、アンプ、A/D変換器を使用しPCに取り込み、腸音の主な周波数である100~400Hzで解析を行った。安静時5分間と各手法実施後5分間の積分値を比較した。また腸管運動には自律神経が関係していることから、同時に交感神経、副交感神経の測定も行った。 【結果】いずれの手法も安静時と比較して有意に腸音は増加した(p<0.05)。各手法の増加率をみると温熱療法14.5%増加、他動的下肢体幹運動20.9%増加、combination34.8%増加が見られ、combinationが最も腸音が増加した。以上の結果より、従来からの温熱療法や新たに開発した他動的下肢体幹運動を行うことで、腸音は増加するが、combinationを行うことでさらに腸音を増加することが明らかになった。この研究結果は現在、The12th ACPT(アジア理学療法士学会)にentry中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である健常成人を対象に①他動的下肢体幹運動、②温熱療法、③他動的下肢体幹運動+温熱療法が腸管運動に及ぼす影響についてのデータ収集が進み、その研究結果をまとめ、2013年9月に台湾で行われるThe12th International Congress of Asian Confederation for Physical Therapyで発表予定であることから、当初の計画通り順調に研究は進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は二段階の研究により構成されている。初年度は基礎研究として、健常成人を対象とした研究を行った。その結果、腸管運動を促通する手法として温熱療法と他動的下肢体幹運動をあわせたcombinationが有効であることが分かった。 今年度はこの結果から、実際の臨床応用の可能性を検証する。兵庫医科大学病院倫理委員会承認後に、兵庫医科大学病院ICU入室患者で腸管運動が低下しており、かつ主治医より腸管運動促通手法の実施が許可された患者を対象に、combination(温熱療法+他動的会体幹運動)を実施し、安静時と比較して腸管運動が改善するか、また消化器症状および排便排ガスに効果があるかを検証する。兵庫医科大学病院ICU西信一教授の指導、助言の下、本研究を進める予定である。対象患者は30名ほどとし、その結果は第41回日本集中治療医学会において発表し、その後日本集中治療医学会雑誌に投稿する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に①データ分析費:統計処理用ソフト、②学会参加費:The12th International Congress of Asian Confederation for Physical Therapy、第41回日本集中治療医学会、③論文掲載費に使用する予定である。
|