2012 Fiscal Year Research-status Report
シーソーモデルを活用した父親の育児行動を促進するための父親学級プログラムの開発
Project/Area Number |
24792484
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山口 咲奈枝 山形大学, 医学部, 講師 (20431637)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 父親 / 育児行動 / 父親学級 |
Research Abstract |
本研究の目的は、行動変容の動機づけに有効な宗像のシーソーモデルを活用し、「動機づけを強化し、負担を軽減することで育児行動は促進される」という概念枠組みを基にした父親学級プログラムを開発することである。さらに、無作為臨床試験によって父親の育児を評価し、プログラムの有効性を検証することを目的としている。 平成24年度は父親の育児行動を促進するための父親学級プログラムを作成することを目的として研究を実施した。具体的には、研究者が育児に関する父親のニーズや父親学級の実態を踏まえてプログラム案を作成した。次に、産科拠点病院における産前学級および行政機関の両親学級に携わる助産師や保健師および母子看護学の教員に研究協力を依頼し、父親学級プログラム案について検討を重ねた。その結果、プログラムは「父親が育児をする意義」、「育児知識の提供」、「育児技術の演習」の3つを骨子とする、講義と演習を交えた内容に決定した。現在は、参加者のリクルート方法や介入時期、実施場所等の検討や父親学級プログラムの実施マニュアルを作成し、パイロットスタディを実施している段階である。 父親の育児行動を促進するために、厚生労働省は父親学級の開催を推奨している。しかし、既存の父親学級の80%は出産することに焦点があてられており、父親の育児行動を促進することを目的としたプログラムは少ない。本研究は、父親の育児行動を促進する父親学級プログラムとして実践の場で広く活用できる内容を目指している。本研究で開発したプログラムによって、父親の育児行動が促進されれば、父親母親双方の育児負担の軽減、仕事と生活の両立の実現や子どもの発達の促進につながる。さらに、子どもをもつことや妻の就業維持に良い影響を及ぼし、少子化社会の改善に寄与すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、父親の育児行動を促進するための父親学級プログラムを作成することを目的として研究を実施した。方法として、まず、地域の拠点病院や行政機関で両親学級に携わる者および母子看護学の教員に対し、研究協力を要請した。次に父親のニーズや父親学級の実態を踏まえ、宗像のシーソーモデルを活用したプログラム案について、研究協力者と検討した。研究者は、研究協力を依頼する地域の産科拠点病院および市における両親学級プログラムを協働で実施しており、施設職員との意思疎通が図れていた。そのため、研究者が作成した父親学級プログラム案を検討する会議をスムーズに開催することができた。研究協力者と検討を重ねた結果、今年度の目的としていた父親学級プログラムの作成をすることができ、目標は達成できた。さらに、研究を進め、参加者のリクルート方法や介入時期、実施場所等の検討や父親学級プログラムの実施マニュアルを作成することができた。現在は、平成25年度の研究実施計画に挙げているパイロットスタディを開始し、研究参加者を募集している。パイロットスタディは、介入プロトコールを確立することを目的としており、縦断研究となるため、全ての研究参加の同意を得てから最終評価までに約1年の期間を見込んでいる。次年度に実施を計画していたパイロットスタディを速やかに開始できたことで、今後の研究実施計画も滞りなく推進できると考える。したがって、本年度は研究実施計画を十分に達成し、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の研究実施計画は、平成24年度に研究者が作成した父親学級プログラムを実施する介入研究のパイロットスタディを行い介入プロトコールを確立することを目的として研究を実施することである。平成24年度に、すでにパイロットスタディを開始しており、参加者のリクルートを進めている。パイロットスタディの目的は、介入方法、介入時期、サンプルサイズ、アウトカムに対して期待される介入の効果、生じる可能性のある副作用、対象者のリクルートやランダム化の方法を検証し、その後に計画している本試験のプロトコールを作成することである。この目的を達成するために、平成24年度に、参加者のリクルートやランダム化割付の方法と父親学級プログラム実施のマニュアルを作成した。また、プログラムを実施する場所や時間、研究参加者への連絡のとり方など研究実施の詳細について研究協力施設と検討し、相互理解を得た上でパイロットスタディを開始した。 パイロットスタディの介入プロトコールの微細な変更は1点である。研究実施計画作成時は、介入する時期を産前に父親学級プログラムに参加する群1群としていた。しかし、産前あるいは産後のいずれの時期に育児指導をすることが、父親の育児行動を促進するのかについて、先行研究では明らかにされていなかった。そこで、パイロットスタディでは、適切な介入時期を検討するために、研究参加者を産前(妊娠36週以降から分娩まで)に介入する群と産後(児の出生から母子の退院まで)に介入する群、対照群の3群に割り付けることにした。群が増えたことで、研究対象者を増やす必要があるが、今年度、当初の計画以上に研究が進展したことや、現在も順調に参加者のリクルートができていることから、次年度中にパイロットスタディを遂行し、プロトコールを確立することができると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)