2012 Fiscal Year Research-status Report
入院中の病児のいるひとり親家族の家族機能と家族支援の構築
Project/Area Number |
24792496
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平谷 優子 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (60552750)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 家族看護学 / 小児看護学 / 家族機能 / ひとり親家族 / こどもの入院 |
Research Abstract |
入院中の病児のいるひとり親家族の家族機能のありようを明らかにし,家族支援策構築への示唆を得ることを本研究の目的とした. まず,データ収集のための事前準備を行うために,医中誌Webを利用して,入院中の病児のいる家族の家族機能に着目して国内文献を検討した.その結果,文献は,1983年から2011年までの29年間で5本と少なく,全て2004年以降に執筆されていた.調査法は,質問紙調査に限られているため,質的に明らかにする研究や客観的な指標を用いた研究を行い,エビデンスを集積する必要がある.なお,ひとり親家族の家族機能に焦点を当てた研究は皆無であった.文献検討の結果から,家族機能を良好に維持するためには,家族のコミュニケーションの促進,こどもに対する心配事の軽減,病児のみならず家族の生活を重視したヘルスケア環境の改善,ファミリーハウスの利用,母親の付き添い期間が長期化しないことが重要であった.文献検討の結果は,平成25年度に第11回国際家族看護学会(米国,ミネアポリス)で発表予定である. 次に,入院中の病児のいる家族に協力を依頼し,父親もしくは母親を対象に半構成面接調査とFFFS(Feetham家族機能調査)日本語版Iを用いた質問紙調査を2013年11月から開始した.参加者は母親3名で,内1名が離婚を経験していた.入院中の病児のいる家族は共通してこどもに関する心配事が多くあった.母親は3名とも付き添いをしており家族役割が変化していたが,できるだけ家族内で役割を調整しながらこどもの入院に対処していた.入院期間中はこどものケアが通常以上に必要であり,母親は身体的,精神的に疲労していた. 平成25年度は対象を拡大し,調査を進めていく予定である.また,具体的な支援策を導き,調査結果をまとめて公表し,家族看護実践において活用することで,このような家族の家族機能向上,生活の質の向上に寄与していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,データ収集のための事前準備(文献検討,インタビューガイド・フェイスシートの作成)を行い,大学の倫理審査を受けて承認を得ること,対象施設への研究協力依頼と協力の得られた家族への調査を開始することを目標にしていたが,これらが達成されたため,おおむね順調に経過していると評価した. まず,入院中の病児のいる家族の家族機能に着目した文献検討を行い,質問項目を厳選してインタビューガイドとフェイスシートを作成し,事前準備を整えた後,大学の倫理審査を受け承認を得た. その後,兵庫県内の小児科病棟のある病院(10個所)の責任者に研究の趣旨や内容,意義について説明し,調査への協力を依頼した結果,2病院から了承が得られた.病院の倫理審査を受け承認を得たうえで,対象家族への依頼を開始した.個人情報保護の観点から,ひとり親家族のみに依頼状を配布することや参加者をひとり親家族のみとすることは,調査への協力に対する理解が得られず難しかったため,対象家族は入院中の病児のいる家族(ひとり親家族とふたり親家族)とした.母親3名から協力が得られ,内,1名が離婚を経験していた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,下記の方法で,分析内容を継続比較しながら半構成面接調査を進めていく予定である.また,ひとり親家族の参加が少ないため,対象施設を拡大して参加者を募る予定である. 入院中の病児のいる家族を対象とした半構成面接調査の内容は,参加者の承諾を得て録音し,逐語録を作成してデータとする.逐語録は記憶が鮮明なうちにできるだけ早く作成し,データを解釈して対象者の理解に努めながら次の対象者の半構成面接調査へと調査を進めていく.データは繰り返し読み,文意を認識し理解した上で参加者により語られた家族機能に関する箇所に注目し,その内容を表すラベルを附してコード化する.内容の類似性と差異性に着目してコードを分類し,共通した内容をサブカテゴリーおよびカテゴリーとして抽象度を高め,分析を進め,家族機能のありようを明確にする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は調査への参加者が少なく,文献検討も国内文献の検討に留まり,研究費を繰り越す結果となった.平成25年度は,積み残した国外文献の検討と,半構成面接調査を進めていく必要があるため,参考図書,論文(特に国外文献)の購入,調査のための交通費やデータ分析のための質的データ分析ソフトの購入,文房具の購入が必要と考えている.また,平成25年度は,平成24年度に行った入院中の病児のいる家族の家族機能に関する文献検討の成果報告のため,第11回国際家族看護学会(米国,ミネアポリス)に参加予定である.そのための学会参加費,渡航費が必要である.
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