2013 Fiscal Year Research-status Report
家族役割行動分類の作成と家族支援ツールとしての「役割バランスマップ」の開発
Project/Area Number |
24792497
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
本田 順子 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (50585057)
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Keywords | 家族同心球環境モデル / 家族役割 / 家族機能 / 生活時間 / 家族アセスメントツール / 家族看護 |
Research Abstract |
本研究は,家族内外の広義の環境をアセスメントするために家族同心球環境モデルの視座から,現代家族の家族機能を規定する家族員の役割行動の内実を明らかにし,それらの分類を新たに作成することを目的としている.昨年度の文献検討と関連資料収集により,時代背景に合わせて役割行動の項目を追加,修正を実施した.さらに,以前からの課題であったこどもの生活行動についての項目を検討した.また,文献検討の結果,既存の研究では,家族システムユニット全体の役割を捉えているのではなく,家族員の療養管理や介護の役割,育児の役割のみに焦点が当てられているという課題が明らかとなった. そこで,今年度は,昨年度の役割行動についての項目を検証すること,家族システムユニット全体の役割を捉えることを目的とし,子育て中であり,家族員の療養管理や介護役割を担っている家族を対象とした半構成面接調査と質問紙調査を実施した.半構成面接調査については,長期入院を経験したこどもの家族(10家族16名)を対象として実施した.また,質問紙調査については,特別支援学校に通うこどもをもつ家族(90家族)を対象として実施し,35家族から回答を得た.これらの調査の結果,家族員の療養管理や介護役割も含め,それ以外に家族がどのような役割に負担を感じているのか,家族システムユニット全体の役割についての実態を調査し,その負担の原因は何であるのか,また,こどもの長期入院という家族イベントを経験した家族はどのように家族役割を調整しているのか,どのような家族内部・外部資源を使用しているのかについて明らかにし,家族役割のアセスメントツール開発の基盤資料とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の達成度が当初の計画より遅れたことにより,全体的な達成度もやや遅れている.しかし,今年度は,その遅れを是正するために,計画を一部変更し,半構成面接調査と並行して質問紙調査のパイロットスタディを実施した.それにより,フィールド確保や質問紙内容の試作ができ,次に予定している大規模な質問紙調査がスムーズに実施できると考える.大規模な質問紙調査は次年度に繰越となり,今年度は実施に至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までの結果から作成した家族役割のアセスメントシート案を用い,家族員の役割行動のバランスと家族機能との関係をみるために大規模な質問紙調査を実施する予定である.質問紙調査の結果から,家族機能を規定する家族の役割行動のバランスをアセスメントツールを完成させる.当初の計画では,あらゆる発達段階(こども期から老年期)にある家族を対象とする予定であったが,次年度は最終年度であり,研究遂行の現実可能性と研究の質を担保するために,対象を広げることより,研究計画時に課題としていたこどもの役割を含むことのできるこども期家族に対象を限定するなど,研究の進捗状況に合わせて修正案を検討をする予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は研究計画よりもやや遅れており,予定していた大規模な質問紙調査が実施できなかった.そのため,調査で使用する予定であった国内旅費,印刷費,郵送費予算が執行できていないため,研究費の80,158円が余剰となっている. 次年度は,大規模な質問紙調査を実施する予定であるため,国内旅費,印刷費,郵送費などに研究費を使う予定である.また,次年度は最終年度であるため,研究結果を発表するための旅費や論文投稿に係る費用を使う予定である.
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