2012 Fiscal Year Research-status Report
生体肝移植を受けた子どもと家族のQOLを高める看護援助に関する研究
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24792500
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 紋佳 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10437791)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肝移植 / 子ども / 家族 |
Research Abstract |
生体肝移植を受けた子どもの日常生活の実態(日常生活、学校生活、疾患管理)と療養生活上の問題(療養行動、子どもの病気の捉え、親のかかわりに対する捉え)を明らかにする。また、その子どもを支える親のQOL及び親が子どもの日常生活をどのように捉え、体験し、支えてきたのかを明らかにする。以上を目的として、9組の親子からデータ収集(質問紙調査および面接)を行った。 その結果、子どもの日常生活の実態は、生活上の問題として、思春期の子どもは、免疫抑制剤の内服管理(内服が面倒である)があり、親も子どもの内服管理の困難を感じていた。学童後期の子どもは、親の管理の占める度合いが高く、親の将来の気がかりとして子どもの成長や肝機能、自己管理ができるかなどの不安を抱えていた。 以上より、個々の体験による相違もあったが、発達段階を反映した相違がみられ、それに対する親の関わりも異なった。子どもの生活の満足度は、個々の状況や家族の状況によって異なったが、身体的活力の低い子どもの割合が最も高かった。ドナーとドナーではない親では、移植決定や家族調整など共通する体験もあったが、ドナーとしての体験もあがり、親のQOLにおいては、移植の体験の相違による影響も考えられた。思春期の子どもにおいては、移植を受けたことを自覚していないあるいは移植を受けたことをプラスに捉えていない場合は、その後の不適切な療養行動や子どものQOL低下に影響すると考えられた。学童後期の子どもにおいては、これから徐々に管理が親から子どもへ移行する時期になるため、発達段階に応じた病気の理解と適切な療養行動をとることが必要であると考えられた。 今後は、子どもの療養行動・日常生活の実態と親・児のQOLとの関連、親の関わりと親・児のQOLとの関連を明らかにし、肝機能維持のためのモニタリング指標を明確にし、看護援助の視点を明らかにする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象数がまだ少ないことが理由としてあげられる。 予定していた対象施設の内、1施設の倫理審査の調整がつかず、現在申請途中である。そのため、今年度7割のデータ収集を行う予定であったが、現在約5割のデータしか得られていない。今年度、倫理審査委員会承認後、残りのデータ収集を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、目標に達しなかったデータ収集のために、主に他施設での調査を実施(倫理審査承認を含む)する。 全データ収集後、子どもの療養行動・日常生活の実態と親・児のQOLとの関連、親の関わりと親・児のQOLとの関連を明らかにする。また、肝機能維持のためのモニタリング指標を明確にする。 看護援助指針を考えるため、国際小児臓器移植学会に参加し、最新の小児臓器移植後の看護支援に関する情報を収集し、日本の文化に合った看護援助の方向性を探る。 調査結果および海外での情報収集をもとに、生体肝移植を受けた子どもと家族のQOL向上のための看護援助の視点を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度、目標に達しなかったデータ収集および残りのデータ収集のための調査費用として主に使用する。特に、他施設は、他県にある施設であり、説明・協力依頼および調査には調査旅費を要する。 調査協力施設は、所属施設と関東地区の施設であるため、研究の打ち合わせ等に費用を要する。さらに、小児看護学の研究者のスーパーバイズを受けるための費用として使用する。 今年度得られたデータからの分析においては、他の専門家とのディスカッションを行うために学会発表等を行う予定である。 得られたデータ整理や資料整理においては、研究者は教育・臨床にも携わっているため、研究に費やせる時間に限りがあり、研究補助を要するため人件費をとしても使用する。また、量的解析可能数が収集できた後、分析ソフト(SPSS)を購入する。
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