2013 Fiscal Year Research-status Report
染色体障害児のきょうだいに対する障害説明の理論構築に関する研究
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24792501
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森藤 香奈子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70404209)
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Keywords | きょうだいケア / 染色体異常児 |
Research Abstract |
きょうだいの子ども時代の経験と思いが、現在にどのように影響しているかを検討するため、現在、大学生であるきょうだいを対象とした「きょうだいの座談会」を企画、フォーカスグループインタビューによりデータを収集し、その分析を行った。 きょうだいが子ども時代に抱いていた両親に対する不満は、両親が同胞について悩む様子やきょうだいの同胞に対するサポーティブな思いが影響して、きょうだいなりの対処法を獲得していた。また、いい子でいようと努力したり、逆に怒られる行動をとるなど、きょうだいは子どもらしい方法で親に気をひく努力をしていた。また、友達など周囲の人に対しては同胞に対する目を気にして、きょうだいが話す相手によって同胞についての話を制限したり、内容を調整していた。 子ども時代の経験が、将来に対するきょうだいの考え方や進路の選択に影響しており、社会資源に求めること、両親や同胞との接し方を考えるようになっていた。そして、きょうだいの将来の生活(結婚、就職、同胞との関係について)、両親と自己の考えが異なることを冷静に見つめ、受け入れたい気持ちと受け入れられない気持ちとの葛藤があることを共有したうえで、最終決断はきょうだい自身でしたいとの発言が聞かれた。 参加者が大学生であったため、自分の体験や思いを言語化するだけでなく、参加者同士で認め合ったり、他の参加者の発言をふまえて自己の体験を客観的にふりかえることができていた。きょうだいが集まって思いや考えを話した経験がなく、今回初めての取り組みであったが、きょうだいの座談会の後には「楽しくてもっと話したかった」、「座談会があっという間に終わった」などの感想が聞かれた。 次年度より、小学校高学年~高校生を対象にした交流会を企画する予定であるが、きょうだいが集まりやすいきっかけを作る必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体験を客観視し、思いを言語化できる大学生の座談会を開催したことで、きょうだいケアの具体的な目標が定まった。患者会へ協力依頼を行い、保護者からきょうだいが主役となることや要望があつまり、プログラム構成が具体的段階に入った。
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Strategy for Future Research Activity |
年代を区切ることより幅広い年代の交流により、きょうだい同士のピアカウンセリングの場とすることが必要である。高学年のきょうだいから低学年のきょうだいにアドバイスができたり、大人になったきょうだいからのアドバイスの場を設ける。 また、きょうだいケアを強調せず、職業選択を一つのきっかけとしてきょうだいが集まる工夫をすることで、参加を促進する。 事前にきょうだいの関心のある実習や作業を聞き取り、専門家の協力を得ること、保護者がきょうだいに伝えたいことを事前調査し、プログラムに導入していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度はデータ分析と論文作成が遅れ、25年度の計画にずれ込んだが、計画はおおむね順調に進んでいる。 小学校高学年から高校生を対象としたきょうだいの会を開催する。次年度は試行的に医療や福祉に関心のあるきょうだいを集め、実習をきっかけとした仲間づくりと染色体異常についての学習ときょうだいとしての体験の共有の場とする。実習は大学生の協力をえて実施する。体験の共有では、社会人になったきょうだいをゲストティーチャーに招く予定である。 その他、25年度に実施したきょうだいの座談会のデータ分析と学会発表を予定している。
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Research Products
(3 results)