2014 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期・妊娠期からの愛着形成と子ども虐待予防の関連における基礎研究
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24792507
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
杉下 佳文 名古屋市立大学, 看護学部, 准教授 (00451766)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 虐待予防 / 妊娠期 / 愛着形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
子ども虐待死亡事例は、1週間に1件の割合で発生している。社会において子ども虐待は早急に解決すべき最重要課題である。虐待により死亡した子どもの年齢は生後24時間以内の死亡である日齢0日が8割を超えていた。実母の8割に「望まない妊娠」の妊娠葛藤があり「子どもの存在の拒否」が4割弱にみられた。妊娠期の児の受容そのものが子ども虐待に大きく影響していることがわかる。本研究は、胎児期からの虐待予防において、妊娠期のストレスおよび不安と、児への愛着障害の関連を質問紙調査および生物学的検査から検討することを目的とした。また、妊娠期からの愛着形成向上への介入研究のための基礎資料となることを目指した。本研究は、縦断的量的調査である。まず、妊娠期の不安・ストレスそのものが胎児・新生児への愛着に影響するのかを明らかにするために妊娠期と産後1か月時に質問紙調査を行った。質問紙の内容は、赤ちゃんへの気持ち質問票・日本版状態・特性不安検査・エジンバラ産後うつ病自己評価票・育児不安スクリーニング尺度等である。調査期間は平成26年10月~平成27年3月で、対象者数は82名であった。生物学的調査内容は妊娠分娩産褥経過の異常の有無・分娩様式・出血量等の基礎データと胎児機能不全の評価・臍帯血pH・APGARスコア・出生直後のバイタルサイン・血液データ等であった。 得られたデータからは妊娠期の不安は胎児への愛着および新生児への愛着と関連していた。また、生物学的検討では、妊娠中の不安は分娩経過中の胎児機能不全および出生時の臍帯血pHに関連していた。妊娠中に不安が高い妊婦の半数は育児不安も高いことが認められた。妊婦の不安が高いと胎児だけでなく新生児への愛着が順調に形成されないことが考えられ、胎内環境や出生時に影響することが推察された。不安の関連因子をさらに検討し、不安が高い妊婦への介入課題が明らかになった。
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