2014 Fiscal Year Research-status Report
看護職の専門性を効果的に発揮する子育て支援者コンピテンシーに関する研究
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24792516
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
吉川 未桜 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (40341523)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子育て支援 / コンピテンシー / 看護職 / 母親 / 言動 / エンパワメント / 傷つき |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、子育て支援に関わる看護職への母親の率直な思いについてのフォーカスグループインタビューを実施し、13名の母親から協力が得られた。結果、励ましたり色んな案を出したりしてくれる、辛いこともプラスの言い換えをしてくれる、○○だから大丈夫ですよと根拠を説明してくれる、子どもの症状・状況や母親の気持ちをうまく引き出してくれる、待ち時間にも声をかけてくれる、などの看護職の言動には安心や信頼を寄せていた。しかし、特に子どもが多く受診する外来の看護師に対しては、そもそも看護師と関わる時間が少ない、忙しそうで声をかけにくい、冷たい印象、言葉がなげやり、子どもとの関わり方を知らない(あやさない)、説明してくれないので何も分からない、母親の話を聞かない、決めつけられる、「泣かせないで下さい」と言われるのはプレッシャーになる、「何でこんなになるまで放っておいたの?」「これ位で来たの?」は辛い、専門家に言われる「母乳が足りてない」は「ダメ」と言われたようで傷つく、等を感じていた。不安で受診したのに病院にいても不安が解消せず、看護師に意見を受け止めてもらえないと大切なことも言えないと感じた人もいた。また、外来は待ち時間が長い分、母親は看護師の言動を見ており聞いていた。看護師は多くの母親は不安があるから受診していることを再認識し、自らの言動を見直す必要がある。また、今回、母親は睡眠不足や疲労・生活の自由度のなさ・イライラなどがある中で子育てをしているが、看護職の言動によるプラスの影響とマイナスの影響があった場合にこれらの差は見られなかった。大変な子育ての中で、看護職のちょっとした言動やフォロー次第で、プラスにもマイナスにも容易に影響を及ぼすことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、母親の状況モデル完成、看護職者の学習会によりコンピテンシーの完成を目指す予定であった。しかし、看護職との関わりによる母親の心理過程について検討する過程で、看護師・助産師・保健師それぞれの看護職との関わりの状況と背景・影響は、母親の状況・子どもの健康度・看護職者の職務の体制や関わりに至るプロセスなどによって異なることから分析・検討方法の見直しが生じたため、予定より遅延した。また、コンピテンシーの作成に関して学習会以外の量的調査を追加するため予定より遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
看護職の職種の違い・関わりの状況の違いによる影響についてより焦点化した母親へのインタビュー調査を継続し、母親の状況モデルを作成する。看護師・保健師・助産師への量的調査およびフォーカスグループインタビュー開催により、省察的で発展的な看護職の専門性を発揮できるための子育て支援者コンピテンシーの作成を目指す。
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Causes of Carryover |
研究協力者の事例の偏り等の課題から看護職の関わりによる影響の背景・過程を明らかにできていない可能性があり、母親の状況モデル作成・看護職者のコンピテンシー作成において再検討の必要が生じた。また、学習会以外のコンピテンシー検討に関する研究方法の見直しも必要となったため、予定より遅延した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、インタビューおよび学習会会議のための旅費・会場費、調査協力者への謝金、量的調査の郵送費、データ入力等の人件費、量的調査のためのSPSS購入などに使用する予定である。
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