2013 Fiscal Year Annual Research Report
在宅精神障害者の家族介護者の首尾一貫感覚に焦点をあてた家族援助モデルの構築
Project/Area Number |
24792543
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
坂井 郁恵 山梨大学, 医学工学総合研究部, 助教 (10404815)
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Keywords | 家族介護者 / Sense of coherence / 在宅精神障害者 / 家族支援 |
Research Abstract |
本研究は,X県内3医療機関と2地域家族会から協力を得て,精神障害者と同居し在宅援助を担う家族介護者と,対照群として市民講座に参加した地域住民に質問紙調査を実施した.質問紙は個人属性の他,SOC-13日本語版尺度,成人用一般的Locus of Control尺度,情緒的支援ネットワーク尺度,精神的健康パターン診断検査(MHP)を使用した.また,同意が得られた家族介護者には個別面接調査を実施した. 質問紙調査は,205名の家族介護者に質問紙を配布し129名(62.9%)の回答を有効とし,対照群は,男女70名のうち46名(65.7%)から回答を得た.SOCは,家族介護者群と対照群の間に有意な差を認めず,いずれも低い状態であった.家族介護者群においてMann‐WhitneyU検定,Spearmanの順位相関係数より,家族介護者のSOCに影響を与えるものとして,年齢,患者との同居期間,一緒に過ごす時間,介護を支える他者の存在とその他者の多様性が考えられた.また,SOCとMHP尺度の合計得点並びに全ての下位尺度との間に相関が認められ,SOCとメンタルヘルスは相互に関連し合うことが明らかになった. 面接調査は24名から協力を得,【家族員の精神疾患の発病】は,家族介護者の人生の中で辛い体験と位置付けられていた.家族介護者は,日々【試行錯誤】を繰り返し【他者からの支援】を受ける中,患者や生活への【気持ちの持ち方】を変化させ,【患者と向き合う力】を見出し,処理可能感へとつなげていた.【病気と向き合うことの難しさ】や【状況の予測・理解の難しさ】は【生活の見通し】のなさを感じさせ,把握可能感獲得の難しさが推測された.これまでの生活や介護に【意義や価値の獲得】を行い有意味感をもつ者がいる一方で,【生活や介護への不全感】を感じている者がおり,介護を継続する力として介護への【使命感】が大きいと考えられた.
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