2012 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における肥満発症関連因子に着目した生活習慣病予防のためのエビデンスの構築
Project/Area Number |
24792544
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
芳我 ちより 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (30432157)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生活習慣病予防 / 幼児期 |
Research Abstract |
平成24年度は、小児の生活習慣の現状と養育・教育的支援における課題を明確にするために、保育士・幼稚園教諭(以降、保育者。対象34名のうち、保育所勤務者は28名、幼稚園勤務者は6名)、小中学校養護教諭11名を対象としたフォーカスグループインタビュー法を用いた研究を実施した。 その結果、保育者は「家庭での養育者の育児状況」が子どもの健康問題へとつながる可能性を感じ、対処したいと感じている一方、「養育者との葛藤」を感じ、保健医療専門職に協力を得て、適切な「肥満予防のための養育者への働きかけの方法」を実施したいと考えていることが明らかになった。また、現在養護教諭が認識している子どもたちの健康・生活習慣上の問題点は、「排便習慣が確立できず、便秘症の子どももいる」「肥満や視力低下、口腔疾患等、健康管理不良の子どもが増加している」「原因不明の不定愁訴が多い」「経験や体力の不足による不器用な行動、想定外の行動によるけがが多い」「起立性調節障害の子ども・アレルギー性の疾患を持つ子どもへの対応の重要度が増している」「身体面と精神面における発達のバランスが悪い」「発達障害と診断される子どもが増加している」「解決困難でプライバシーに関わる問題(親の精神疾患など)を抱える子どもががいる」であることが明らかになった。 次年度以降、効率的・効果的な肥満予防の介入方法を確立するために、どのような生活が、どのような健康状態と関連するのかについて、エビデンスレベルの高いコホート研究、介入研究へと発展させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては、幼児期から学童期にある子どもたちの健康および生活状況を明らかにするための質的研究を実施しながら、コホート研究、介入研究実施のためのフィールドを確保することを目的としていた。 質的研究に対しては、当初予定していた対象者数には達しなかったこと、また市町村からの研究協力を確約することはできなかったが、十分に検討に耐えうる研究結果を産出できた。さらに、フィールド確保については、小中学校を拠点として後ろ向きコホート研究と介入研究を計画し、協力関係を構築することができたため、おおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に研究協力の得られた小中学校(現在検討しているのは、山梨県内の小中学校10校)に対し、子どもの体格データおよび生活習慣についての後ろ向きコホートデータを収集するシステムを構築する。また、サンプルサイズを確保するため、今後も研究協力を募る予定である。研究者の所属先である岡山県は15歳男子の肥満の有病率が全国1位であり、小中学校へ働きかけていく予定である。 また、データベースの作成とともに、当初の研究計画通り、小児肥満の関連因子を明確にし、保育所、小・中学校における予防のための介入方法を検討し、介入研究の準備を進める。そのために、小児肥満を専門とする医師、保健師、養護教諭、保育者で構成する専門家会議を開催し、デルファイ法などを用いて介入方法の検討を計画する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度同様の予算としては、システムの維持管理費と、それまで実施した研究成果の発表等に研究費を使用する予定である。具体的には、学会発表、論文投稿、研究成果を公表し、広く研究協力者を募るためのホームページの維持費、データ管理のための管理・運営費、その他研究に関わる事務・消耗品の購入費である。 また、次年度使用額453,616円が生じた理由として、研究者が所属機関を異動することが決まっていたため、新しい所属先での研究設備の整備および研究フィールドとの連絡調整、新規フィールドの開拓に経費が必要なことを考慮し、次年度へ繰り越すこととした。 他に、25年度は、介入研究へと発展させるため、研究フィールドへの旅行費、研究協力者への謝金、専門家会議等の会議費を検討している。
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