2013 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における肥満発症関連因子に着目した生活習慣病予防のためのエビデンスの構築
Project/Area Number |
24792544
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
芳我 ちより 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (30432157)
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Keywords | 小児肥満予防 / 体格推移 / コミュニティヘルス / コホート調査 |
Research Abstract |
本研究目的は、小児肥満予防に向け、効果的な介入方法を検討するために、エビデンスとなる知見を構築することである。平成25年度の当該研究目標は、学童期にある子どもの体格データ(身長・体重)、生活習慣要因(朝食欠食の有無、課外活動としての運動習慣の有無、等)などを収集するためのデータベースを構築することであった。 この目標を達成するために、まず、山梨県内の協力者と協働し、学童期の子どもの健康管理を担う養護教諭に向けた「小児期からの生活習慣病予防」をテーマとしたシンポジウムを開催し、県内に協力者を募った。その結果、人口約3万人(出生数年間約200人)の都留市内全小中学校、および特別支援学校1校の協力を得ることができた。これらの学校において、Webを利用したデータ入力システムを創設し、今後、コホートデータを蓄積していく予定である。 また、現時点において得られたデータを解析することにより、以下の知見を得ることができた。すなわち、①体格推移のパターンについて:小学1年から6年までの身体測定データをもつ1,536名(男児749名、女児787名)の体格推移のパターンを明らかにするために、セミパラメトリック混合分布モデルを適用し体格の繰り返しデータの経年的な軌跡パターンを階層的にグループ化した。その結果、男児で5つ、女児で6つに分類することができた。これらを検討した結果、殆どの子どもが学童期以前の体格を継続するが、男児において学童期に作られる肥満があることが示された。②体格推移に影響を与える因子について:6歳(小学1年)から14歳(中学3年)までの体格データをもつ304名(男児163名、女児141名)であった。この子どもたちの体格の推移を検討したところ、クラブ活動に参加している男児は、そうでない男児よりもBody Mass Index[体重(kg)/身長(m)2 ]が低値となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域ベースのコホート研究を実施するためには、フィールドとの連携が必須である。今回、1市町村全域の小中学校と、県立特別支援学校を対象としてデータ収集が可能となったことにより、今後のデータ解析に役立つフィールドを確保できた。また、300名以上のデータを基に、現状でのデータ解析を実施することにより、これまで先行研究で指摘されてきた知見を支持する結果が得られた。以上のことより、達成度としては問題なしと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当該年度分のデータを追加するとともに、2年分のコホートとして解析を行う。具体的には、非肥満から肥満へと変化した群(肥満生成群)と非肥満を維持した群(非肥満群)、また肥満から非肥満へと変化した群(肥満消失群)があれば、それと生活習慣の関連を検討する。また、知的障害をもつ子どもたちと、定型発達の子どもたちで肥満の関連因子が異なるかどうかを検討する。 さらに、最終年度となるため、国際学会での発表、研究者とのディスカッションを通し、今後研究を発展させるための方策について検討する。現時点では、これまで得られた知見をもとに、介入研究(準実験研究)を計画する予定である。これにより、具体的に肥満の発症を予防できるかどうかを検証し、小児期の肥満予防へとつながる因子を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定と異なった点として、研究者の異動に伴い新任地でのフィールドの新規開拓が困難であったことによりデータの拡充ができなかったこと、統計ソフトの値下げがあったこと、また予定していた海外での学会発表ができなかったことが挙げられる。 次年度は、現在確保しているフィールドでのデータを充実させるための該当地域までの出張費、従来の解析方法よりも優れているといわれているマルチレベル分析の手法を適用するため専門家の助言を受けるための謝金、研究成果を発表するための海外出張費・論文投稿費などに使用する予定である。
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