2014 Fiscal Year Research-status Report
幼児期における肥満発症関連因子に着目した生活習慣病予防のためのエビデンスの構築
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24792544
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
芳我 ちより 岡山大学, 保健学研究科, 准教授 (30432157)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小児肥満予防 / コホート研究 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度の目標は、前年度までの結果を基に、小児肥満予防の関連因子を解明するため、介入研究を準備することであった。目標達成に向け,まず学童期にある子どもの体格データ(身長・体重),生活習慣要因(朝食欠食の有無,課外活動としての運動習慣の有無,等)などを収集できるデータベースを構築することを当面の目標とし,今年度入手できたデータを解析した。 具体的には,都留市内全小中学校,および特別支援学校1校の協力を得て収集したコホートデータ(山梨県都留市の公立小学校に通う4年次児童男児76名、女児79名計155名)を解析し以下の2点の知見を得た。それは,①体格推移のパターンについて:男女ともに5パターンに分類できることが明らかになった。この結果は,昨年度,学童期のみを解析対象とした結果と異なっており,その理由として乳幼児期のデータの有無が関係している可能性が示唆された。これまで,わが国においては子どもたちの体格推移パターンの傾向として,出生時より大きい子どもが肥満になり,小さい子どもは痩せとなるというように,時間の経過によって変わらない(交差しない)という結果が示されていたが,この結果によって,乳幼児期のデータを結合したデータを用いて解析することの重要性が示唆された。②体格推移に影響を与える因子について:各パターンのサンプル数が少なく推計値を算出できない項目が目立ったが,それでも母親の就業が男児の体格推移に関連する可能性が示唆された。このことは,これまでの研究成果からも指摘されており、今後、慎重に検討する必要がある。 以上の結果より、統計的に処理するためには、サンプル数を増やす必要があり,また,交絡因子として指摘されている母親の体格,学歴,もしくは世帯収入などの情報が必要である。現在の生活習慣が将来の体格とどのように関連するのかを調査(前向きコホート)するため,介入研究を計画する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,昨年度までのデータ1,536名に小学校への新入生155名を加えて,計1,691名のデータを解析することができ,新たな知見を得ることができたことは,予定通りの成果である。その一方で,新しい解析方法を検討し,適用するための準備に時間を費やしたために論文作成に時間がかかり,論文投稿を年度内に完結することができなかった。しかし,データ収集,フィールドワーク等に問題はなく,国際学会での発表は終了できていることなどを考えると,全体としては,およそ計画通りの達成度とみなすことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
4月中に論文投稿,27年度中にアクセプト・専門誌掲載を目指す。
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Causes of Carryover |
26年度に収集したコホートデータの分析を行い,その結果を論文として国際誌にて発表する予定であったが,トラジェクトリ解析では新たな知見が得られなかった。そのため,マルチレベル分析を検討し,その分析に必要な手法を学ぶ時間を要した。それにより適切な結果を産出することが可能となった一方で,結果の産出に遅延が生じてしまったため,論文作成が遅れ,未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額については,次年度に論文投稿によって使用する予定である。
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