2013 Fiscal Year Research-status Report
地域でピアサポート活動に参加する精神障害者のエンパワーメントに関する研究
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24792545
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
成田 太一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70570521)
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Keywords | ピアサポート / 精神障害者 / エンパワーメント / 地域 |
Research Abstract |
本研究は、地域でピアサポートに参加する精神障害者のエンパワーメントを支援するため、①地域でピアサポート活動に参加する精神障害者のエンパワーメントプロセスを検討し、②ピアサポート活動を継続する上での課題を抽出し支援方法について検討することを目的としている。 平成25年度は、地域でピアサポートプログラムに参加する精神障害者に対し、プログラム参加前後にRecovery Assessment Scale(RAS)や特定不安検査(新版STAI)を含む自記式質問紙調査を実施したとともに、終了時には半構造化面接法によるグループインタビューを実施した。分析は、定量的データの単純集計を行うとともに、実施前後のRAS、新版STAI、平均臨時相談回数、頓服薬の使用頻度の平均値の変化はt検定により分析した。結果、実施3ヶ月間の前後評価ではリカバリープロセスに変化はみられなかった。しかし、新版STAIでは、平均値は特性不安が開始時に60.7±9.8であったが、終了時は49.8±14.0と有意に減少していた(p<0.05)。グループインタビューにおいても、≪自己を内観する≫、≪新たな対処を試みる≫、≪他者の意見を取り入れる≫、≪グループで互いに気遣う≫、≪自分を理解してもらえる場を広げる≫の5つのカテゴリーが抽出された。集団でピアサポートプログラムに取り組むことで≪自己を内観する≫ことを通しながら≪グループで互いに気遣う≫様子が語られており、個人の不安の軽減とともに、自己理解やメンバーの相互理解が進んだと言える。なお、本調査結果は第21回日本精神障害者リハビリテーション学会(沖縄)で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、ピアサポート活動へ参加する精神障害者のエンパワーメントプロセスの検討としてグループでピアサポート活動を行っている精神障害者を対象に半構造化面接を行い、質的記述的方法により分析することを目標としていた。プログラム終了後にグループインタビューを実施し、ピアサポートプログラムへの参加による変化を個人因子とグループ因子の観点から検討することができた。また、質的データだけでなく数量的データも収集し多角的に分析を行うことができた。そのため、概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、実施6ヶ月後の調査結果も踏まえながら、結果をまとめ必要な支援方法を検討していく予定である。当初の研究計画では、対象を広範囲に広げ、自記式質問紙調査を用い全国的な実態を数量的に明らかにする予定であったが、ピアサポートプロセスやエンパワーメントの過程は、個人や集団の本質的変化を継続的に検討する必要があると考え、ピアサポートプログラムに参加する精神障害者の変化を継続的に観察することを通し、必要な支援について検討することとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入予定であった書籍の一部の発行が平成26年度に予定されているため、平成25年度中の購入を見送ったため。 平成26年度の助成金と合わせ、書籍が発行され次第執行する予定。
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Research Products
(1 results)