2014 Fiscal Year Annual Research Report
地域でピアサポート活動に参加する精神障害者のエンパワーメントに関する研究
Project/Area Number |
24792545
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
成田 太一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (70570521)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ピアサポート / 精神障害者 / エンパワーメント / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域でピアサポートに参加する精神障害者のエンパワーメントを支援するため、①地域でピアサポート活動に参加する精神障害者のエンパワーメントプロセスを検討し、②ピアサポート活動を継続する上での課題を抽出し支援方法について検討することを目的としている。 平成26年度は、平成25年度に地域でピアサポートプログラムに参加する精神障害者を対象に実施した調査を、対象を拡大して実施したとともに、これまでの調査結果の分析と考察を行った。分析は、プログラム参加前後のRecovery Assessment Scale (RAS) や特定不安検査(新版STAI)について単純集計を行いプログラム前後の変化を対応のあるt検定を行った。また、終了時の半構造化面接法によるグループインタビューの結果は質的記述的分析方法により行った。 結果、プログラム前後でRASの平均値が有意(p<0.001)に上昇し、新版STAIにおいても特性不安、特的不安ともに平均値が有意(p<0.01)に減少した。グループインタビューの結果、≪自己の内観≫、≪疾患の受容≫、≪セルフケアの促進≫、≪他者の生活の工夫の自己への応用≫、≪他者の理解≫、≪相互理解への期待≫の6つのカテゴリが抽出された。 ピアサポートプログラムに参加することで、自己の理解やセルフケアといった個人のエンパワーメントが見られたとともに、同じ生活上の困難を抱える者同士で関わり合うことで相互理解が進み、次第に集団としての一体感が醸成され、グループのエンパワーメントに繋がっていったと言える。ピアサポートプログラムを有効に機能させていくために、ロールモデルに触れられるよう様々な回復段階にある参加者によりグループを構成することや、ピアサポートが及ぼす影響を理解したファシリテーターを育成すること、定期的にピアサポートが適切に行われているか評価し改善していくことが必要である。
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