2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24792547
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
五十嵐 久人 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (90381079)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 非正規雇用 / メンタルヘルス / 職業性ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は前年度実施の調査に対して追加協力企業があり,それらのデータを加え,正規雇用労働者の置かれているストレス状況やQOLの検討を行った。非正規雇用と正規雇用労働者との比較では,職業性ストレスの多くの項目で正規雇用労働者のストレス度が高いことが示された。WHOQOL26において差は認められなかった。男女比較では男性の方が身体的領域,心理的領域のスコアが低く,性差の影響が示唆された。SOCは雇用形態の違い,性差は認められなかった。SEMを用い各要因の関係を確認したところ,QOLにはストレス反応が影響を及ぼしている事が示された。 中小企業の衛生管理者に,労働者の健康管理の状況や雇用形態に違いの影響などについて聞き取りを実施した。結果,景気回復の兆しはあるものの,中小企業にまで十分届いておらず,現状では健康管理に時間やコストをかけることは難しく,雇用者の自己管理に委ねている状況にあった。 本研究により,非正規雇用労働者のストレス状況やQOLが正規雇用労働者に比べ,必ずしも悪い状態にあるとは言えない結果となった。職業性のストレスは,社会情勢や家庭環境,個人の思考や健康状態など様々なものから影響を受けることや,雇用形態に応じたストレスが存在していることから,雇用者自身が様々なストレスにさらされている事,それらがQOLにも影響を及ぼす可能性がある事を理解し,ストレス反応を軽減できるようセルフケア能力を高められる支援・関わりが重要と考える。 また,ライフステージの中で長い時間を過ごす職域での健康管理には,短期的な評価指標だけでなく,長期的な評価指標が不可欠である。調査結果から,職業性ストレスがQOLに影響を及ぼしている事が示されており,職業性ストレスの把握にとどまらず,支援の結果指標としてQOL向上に目を向けた支援が必要と考える。
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