2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢心不全患者の再入院予防のための病訪連携システムと費用対効果への影響
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24792549
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
荻田 美穂子 京都光華女子大学, 健康科学部, 講師 (00455031)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 訪問看護 / 地域連携 / 心不全 |
Research Abstract |
本研究は、病院と訪問看護ステーションの連携(病訪連携)の強化を実施することにより、高齢心不全患者の予後が改善するか否かを検討することを目的としている。対象は65歳以上の心不全増悪を主病名として入院した患者で、調査は心機能および生活機能評価等のベースライン調査後に、6ヶ月間の再入院等のアウトカム評価を行うものである。本年度は、非介入群の症例登録およびベースライン調査を行った。結果、調査が可能であった22名のベースライン調査時の患者特性について記述統計を行った。対象者の約4割が内服・塩分・水分管理の不徹底による水分過剰が原因の再入院していた。平均年齢(±標準偏差)81.2±6.7歳、男性68.2%、心機能分類(NYHA)IV度59.1%、III度40.9%であった。左室駆出率40.0±23.0%、BNP1135.1±838.7pg/mlであった。対象者の生活機能としては、Barthel Indexの入院2週間前92.0±16.7点、入院時50.9±20.8点、退院時85.2±15.5点であった。また、老年式活動能力指標8.0±4.0点、Mini Mental State Examination24.5±3.9点で、そのうち24点未満が40%を占めた。今後は、非介入群の追跡調査に加えて、介入群の調査を行い、病訪連携の効果を検証する予定である。なお、本年度は介入群の調査にむけて、研究協力病院および近隣訪問看護ステーションとの合同勉強会を開催し、病訪連携の方法について検討を行った。近隣訪問看護ステーション24箇所に協力依頼を行い、8箇所21名の訪問看護師の参加が得られた。次年度より介入群の退院後の受け入れステーションとなる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行上のいくつかの問題を回避するため、調査方法を一部変更することになり、一部の症例登録が次年度に繰り越しになった。しかしながら、平成25年度の調査準備はすでに整っており、申請当初予定の2年間で本研究の目的を達成する上においては、問題のない範囲の進行状況であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度にベースライン調査を行った非介入群の追跡調査および、介入群の症例登録、ベースライン調査と追跡調査を行う予定である。外来診察時、訪問看護時に聞き取り調査、郵送調査、もしくは診療録の転記にてアウトカム評価を行う。そして、平成24年度に調査された非介入群の調査データと合わせて、介入の可否とアウトカムとの関連が検討できるデータベースを構築する。介入群と非介入群間のアウトカムの相違を統計ソフトを用いて検討する。検討事項としては、病訪連携システム導入の可否による高齢心不全患者の再入院、死亡、日常生活動作(ADL)、生活の質(QOL)項目の比較である。さらに、訪問看護サービスを導入することによる医療コスト低減の効果を検討する。 最後に、高齢心不全患者の再入院予防のための病訪連携システムと費用対効果への影響についてまとめ、論文投稿および学会等への成果発表を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力者への謝礼代、講演者および研究補助員への謝金代、旅費の一部が次年度に持ち越しとなった。その理由としては、研究協力病院との打ち合わせの結果、遂行上のいくつかの問題を回避するため、調査方法について一部変更が必要となり、平成24年度に実施予定の介入群の症例登録を、平成25年度に行うことになったためである。また、平成24年度の症例登録数が少なかったため、予定していた成果報告を次年度に見送った。 平成25年度の介入群の症例登録の予定としては、1施設目はすでに4月から開始できており、調査にかかる補助員の配置も行った。また、2施設目も介入調査のための病訪連携システムを整備し準備が整いつつある。今年度に予定の症例登録が終了できる予定であり、成果報告も予定している。
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Research Products
(3 results)