2012 Fiscal Year Research-status Report
胃瘻造設に関する代理決定を行った家族への援助―心理的葛藤プロセスを構造化して―
Project/Area Number |
24792550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
吉崎 文子 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (60583599)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 胃瘻 / 在宅介護 / 家族 |
Research Abstract |
胃瘻造設を行った家族の心理が、胃瘻造設から看取り、死別後に至るまでどのような変化を辿るのか、その心理変化はどのような因子の影響を受けるのかを明らかにするために、胃瘻造設に関する代理意思決定を行い、その後在宅で高齢者を看取った家族7名に対して、半構成面接を行った。そして得られたデータを質的帰納的に分析を行った。 分析の結果、【食べられないことに直面】、【胃瘻造設に関するイメージの具体化】、【生きるための自然な選択】、【試行錯誤しながらの胃瘻介護】、【心身ともに安定した介護生活】、【介護する意義を実感】、【自らの決定に対する心のゆらぎ】、【看取るための準備】、【日々振り返るなかでの心の整理】、【今まで培われてきた関係性】のカテゴリーと、57のサブカテゴリー、144のコードを抽出した。 家族は、胃瘻造設時から、自らの決定に対する心のゆらぎを抱いていた。但し、胃瘻造設の決定は、家族を死なせることは出来ないという、生きるための自然な選択であるため心のゆらぎは大きくはなかった。胃瘻造設後、自らの決定に対する心のゆらぎは、試行錯誤しながらの胃瘻介護を行う中で、振幅を変えながら肯定的・否定的な変化のプロセスを辿った。またその変化は、患者の身体状態に大きく影響を受けていた。 自らの決定に対する心のゆらぎは、看取り後、日々振り返る中での心の整理を行うなかで、否定的・肯定的双方のともにより安定したものへと変化していった。自らの決定に対する心のゆらぎをはじめ、各カテゴリー間の基盤となるものが「今まで培われてきた関係性」だった。そのため、個々の家族がどのように現状を受け止め、意思決定を行っているのかを見極めた支援を行っていく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胃瘻造設に関する代理意思決定を行った家族に対して面接調査を行うことが出来た。しかし、今回は在宅で介護を行い、看取った家族に対しての面接であり、今後介護施設等で療養生活を行われていた高齢者に対する胃瘻造設代理意思決定を行った家族に対しても調査を行っていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成24年度の質的研究結果をもとに質問紙を作成し、量的分析を加えトライアンギュレーションを行う。 対象者の属性と質的分析で得られたサブカテゴリーを質問項目に設定し、質問紙を作成する。アンケート調査は、滋賀県下にある老人保健施設で行う。分析方法は、記述統計、因子分析、共分散分析を行う。因子分析(主因子法、プロマックス回転)ではデータの構造を、共分散分析では変数間の慰安が関係を明らかにする・データ解析には統計ソフトSPSSver20 for Windowsを使用する。 2.家族の心理的状況測定尺度開発の準備を行う。 平成24年度の研究成果をもとに下位カテゴリーおよび質問項目を検討し、主概念の理論的枠組みに沿った測定尺度(尺度試作版)を作成する。尺度制作にあたっては、足立氏(滋賀医科大学医学部看護学科教授)および岡山氏(滋賀医科大学医学部看護学科准教授)より助言を受ける。次にプレテストを行い、尺度原案の論理的妥当性と表面的妥当性を検討する。そして尺度試作版の信頼性と妥当性の検討のため横断的質問紙調査の実施を行う。認知症患者の胃瘻造設に関する意思決定を行った家族を対象に、アンケート調査を行う。尺度の信頼性に関しては、Cronbachのα係数により内的整合性、再テスト法により安定性を検証する。また妥当性に関しては、基準関連妥当性は既存の尺度との相関関係、構成概念妥当性は各項目で因子分析(主因子法、プロマックス回転)を行い、因子構造で確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)