2013 Fiscal Year Research-status Report
タブレット型端末を利用した地域在宅療養者の服薬管理支援システムの構築
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24792551
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内海 桃絵 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40585973)
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Keywords | 情報共有 / 在宅医療 / 多職種共同 |
Research Abstract |
在宅療養者と在宅医療・介護スタッフにおいて双方向情報発信が可能なiPadのアプリケーションである「電子連絡ノート」の試験運用を京都府京丹波町と京都市において行った。 京丹波町では2013年9月~2014年1月に療養者9名、医療スタッフ18名を対象に実施した。1人の療養者に関わる医療職種の中央値は3(幅2~4)職種であった。試験運用中の入力総数は2051件で、入力者の内訳は、療養者・家族66.3%、看護師15.1%、薬剤師8.6%、理学療法士8.0%、ケアマネジャー1.4%、医師0.6%であった。療養者を低介護群と高介護群の2群に分けて分析したところ、スタッフ入力数の中央値は、高介護群57.0件、低介護群30.0件と、高介護群が有意に多かった(p=0.032)。患者入力数に2群で有意差は認められなかった。また、スタッフに看護師がいる群のスタッフ入力数の中央値は44.5件、看護師がいない群では22.0件であった(p=0.024)。 京都市においては、在宅緩和ケアの療養者と医療チームを対象に試用実験を行った。試用期間中、療養者は遠方の娘宅に3週間滞在したが、その間に口内炎が悪化した。しかし、電子連絡ノート上での療養者、医師、薬剤師のやり取りにより、問題が解決し、治療のため帰宅することなく娘宅での滞在を継続することができた。医療スタッフへのインタビューから、医療者は療養者の身体的、精神的状況を見極め、かかわり方を変化させており、そのことは「電子連絡ノート」への入力状況に反映されていた。 これらのことから「電子連絡ノート」は、介護度が高い療養者の家族、状態変化が大きい緩和ケア療養者とその医療スタッフが使用するのに適している可能性がある。一方で、地域に住むすべての高齢者に配布するようなことは有効ではないと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試験運用の参加者からの意見を参考に、アプリケーションの改善を行っている。改善内容は、既存機能の見直しとして登録した情報の編集削除機能、写真機能、グラフ表示、画面構成や表現の見直しである。さらに、新規機能として入力項目設定機能の追加を行う予定である。改善したアプリには、服薬情報の入力、服薬情報を経時的にグラフ化する仕組みを組み込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
改善したアプリケーションをインストールした「電子連絡ノート」を使用しての実証実験を行う。新しいバージョンでは、入力項目設定機能があるため、在宅緩和ケアで疼痛コントロールが必要な患者には、ペインスケールを組み込み活用してもらう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内学会発表のため秋田に出張予定であったが、勤務の都合で欠席したため旅費が当初の計画よりも少なくなっている。 論文執筆時の英文校正代として使用する。
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Research Products
(9 results)