2012 Fiscal Year Research-status Report
精神科訪問看護における患者からの暴力に対する訪問看護師のスキルに関する研究
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24792553
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤本 浩一 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20467666)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精神科 / 訪問看護 / 暴力 |
Research Abstract |
平成24年度は2施設5名の精神科訪問看護師に参加協力を得た。全員女性で年齢は30~40歳代、看護師経験年数は12~23年、精神科訪問看護経験年数は5~9年であった。インタビューから暴力が発生する危険を感じた1事例とそのエピソード、暴力が発生した5事例とそのエピソードを得た。エピソードごとに精神科訪問看護師が観察した情報、判断、判断に影響を与えた要因、実践について分析した。そのうち暴力が発生する危険を感じた事例Aのエピソードの一部を示す:()は精神科訪問看護師が観察した情報、[]が看護師の判断、【】が判断に影響を与えた要因、<>は実践。 事例Aの一部:精神科訪問看護師が利用者の服薬状況を確認していたところ、利用者が(台所に消えるという行動)(殺気だった雰囲気)を観察した。これまでに利用者が【目の前からいなくなったことが無い】こともあって、精神科訪問看護師は[刺されるかもしれない]と判断し、同時に[訪問看護が利用者を追い詰めている]と判断した。そして利用者の(目が据わっていること)(表情の固さ)を観察しつつ、利用者に<医師に訪問看護を中止したい思いを伝えるように説明する>、利用者を<追い込まないよう退出する>ことを実施し、訪問を終了した。 事例B・Fは利用者の病状悪化に伴って身体的暴力を受けたエピソード、事例Cは利用者が飲酒状態で性的暴力を受けたエピソード、事例Dは利用者の病状悪化に伴い言語的暴力を受けたエピソード、事例Eは利用者が飲酒状態で言語的暴力を受けたエピソードであった。 エピソードの分析から、精神科訪問看護師は利用者の不調など暴力の危険性の高まりに気付いた時点から、暴力の危険性に関する情報を的確に得よう、重要な情報を選択しようとすると考えられた。また新たな情報を得るたびに暴力の危険性に関する判断を繰り返し、危険性に関する短期的な見通しを積み重ねていくと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成24年度に研究対象者10名からデータを収集する予定であったが、研究に投じるエフォートが十分に確保できなかったことから、目標とする対象者数に到達しなかった。 また暴力が発生するまでのパターンが複数存在したことから、それぞれのパターンにおける精神科訪問看護師のスキルを描く必要性が考えられた。現段階では同じパターンに属するエピソードを複数収集できていない。そのため同じパターンに属する複数のエピソードを収集できるようデータ収集に配慮する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は本研究に投じるエフォートが十分に確保できる見通しであることから、目標とする研究対象者数からデータを収集できるよう、また暴力が発生するまでのパターンごとに精神科訪問看護師のスキルが抽出できるよう研究計画を遂行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は本研究に十分なエフォートが投じれなかったことから、予定していた通信費や人件費を支出しなかった。また所属機関に設置し、データの整理・分析に用いてたパソコンが急遽破損したことから、当初に計画していた以外の出費があった。 平成25年度は本研究に投じるエフォートが十分に確保できる見通しであることから、当初の計画通りに研究費を執行していく予定である。
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Research Products
(1 results)